小林 星羅 (愛媛大学: M1)
小林 星羅 (愛媛大学: M1)
gzK 選択を用いた z~2 の遠方電波銀河探査
近傍の電波銀河は星形成をやめた大質量なパッシブ銀河が多いと知られている。また、電波銀河が持つ電波ジェットは、銀河外物質の流入阻害や周辺ガスの加熱などの効果により母銀河の進化に大きく影響を与えると考えられている。故に電波銀河、特に星形成が活発である初期宇宙に存在する遠方電波銀河の系統的探査は、銀河の星形成シナリオに制約を与えると考える。しかし、電波銀河が希少であることや観測バイアス、観測技術の限界により、特にz~2の電波銀河のサンプル数は非常に少なく統計調査が行われていないため、電波ジェットの星形成への影響についての系統的な理解には至っていない。そこで我々は、星形成銀河もパッシブ銀河も選択できるgzK選択を用いてz~2の電波銀河の新しい広域探査を試みた。本研究では、すばる望遠鏡広視野カメラHSCの可視光データ、VISTAの近赤外線データ、VLAの電波データを用いてz~2の電波銀河候補天体を特定した。その結果、星形成銀河を88天体とパッシブ銀河を18天体選出できた。それらに対するSED fiitingより、電波銀河候補天体の星質量は10^11M_sun を超える大質量銀河であることがわかった。また、星形成銀河のmain sequence (MS)に対して、これまでに発見された近傍電波銀河は1dex以上離れたパッシブ銀河が多く、遠方にいくにつれてMSに一致するような星形成銀河が増える傾向が見られている。しかし、本研究で得たパッシブな遠方電波銀河は1dex以上も下に位置しており、これまでの遠方電波銀河探査では見られなかった種族の電波銀河が見つかってきたことが示された。