未来の海のために
海、綺麗。
人は海を見てそう感じるのではないでしょうか。
今日、人は海の最も深いところまで潜ることができるようになり、そこにある陸上とは異なる生態系を知り、また便利な生活になくてはならない鉱物を見つけました。
地球は気の遠くなる年月をかけて、燃え盛るマグマの海から陸地、そして海を生み出し、今ある生態系を育みました。それとは比較にならないような短い期間で、人は地上を制しました。
知恵の為したことです。
しかし、知恵は五感から見出すものなので、多くの場合、経験の範囲外には疎いものです。人の脳は見えないものを無いものとみなすことができる、とある解剖学者が書いています。そのため、見えないものに考えが及ばず、取り返しのつかないことが起こり得るのです。
ただ、人は知恵を使ってパターンをみつけたり、確率を計算したり、予測したり回避することができます。
人は、海の中にある資源を開発することを考えています。数キロメートルにもわたる分厚い海水に覆われて、私たちが直接見ることができない深海では、いったい何が起こっているのでしょうか?深海底にある資源は見えているけれども、それ以外のものが見えない状態になっていないでしょうか?
私たちには、私たちの未来を作る力があります。
私たちの日々の行動、ひとつひとつが地球の未来につながっています。何年後、何十年後、私たちはどんな世界で暮らしていたいですか?そのためには、どんな環境が必要でしょうか?その環境を作るには、私たちは何をするべきでしょうか?
「深海の宝物」が未来の海を考えるきっかけになり、海と資源と人との関わり合い方を考えるためのテキストになれば幸いです。