SHINDO Project :::: 環境と戦う細胞集団を観る ::::
甲状腺は甲状腺ホルモンを産生・分泌する内分泌器官であり、多くの器官の発生に必須の機能を果たします。甲状腺は、内部に腔をもつ濾胞というボールのような組織の集合体から成り立っています。このボール型の組織を作るためには、オタマジャクシが餌を食べ始めることが必要であることがわかっています。一方で、栄養が不足すると、オタマジャクシの甲状腺は形づくりを一時的に停滞させます。栄養は甲状腺の形態形成をどのように起動し、また、停止させるのでしょうか?栄養を吸収する消化管との関係にも注目しながら、栄養環境が甲状腺の形を制御する仕組みを明らかにします。
器官形態が完成する発生後期の個体は、初期胚と比較して多様な環境因子に晒されていますが、栄養環境や環境温度, 環境pHなどの変動を巧みにかわす形態形成機構があることは上記の甲状腺形成の研究からも示唆されます。多様な環境変動に組織や器官を作る細胞はどのように対応し、正常発生を継続するのでしょうか。 器官形成期の個体環境を簡便に操作できるアフリカツメガエル幼生を用いて、栄養(餌)、温度、pHといった環境因子に応答する器官とその標的分子を全身を対象に探索します。
表皮は胚の体表を一枚のシートのように覆っています。胚の体形は発生が進むにつれ大きく変化しますが、表皮は破れることもたるむこともなく、体をぴったりと覆い続けます。どのようにして表皮は柔軟にその形を変えているのでしょうか?私たちは、神経伝達物質として知られる物質とその受容体が、表皮細胞の形を柔軟に変化させ、引っ張りや圧縮の力による形の歪みを補正している可能性を見出しています。大人の体ではこの物質は神経に依存して筋肉の収縮を調整することが知られますが、発生過程では神経に依存せずに組織の形の歪みを調整している可能性が考えられます。その仕組みと意義を紐解きます。
KATO Project :::: ものづくりで Question に挑む ::::
アフリカツメガエルの胚は、卵膜内の限られた空間で曲がった姿勢をとりながら組織や器官の形を作り上げます。曲げた体の左右では受ける外力が大きく異なるはずですが、胚はどのようにして左右対称な体を作るのでしょうか。胚は外力を打ち消しているのか、それとも外力を巧みに利用して組織や器官の最適な形を作っているのか、その仕組みはほとんどわかっていません。胚に外力を与える装置や、組織内の応力を計測するアフリカツメガエル胚専用の新しい装置を開発し、力と形態形成の謎に迫ります。
動物の胚は、発生中に形態形成と並行して運動を開始します。運動に伴う体の高速変形は、組織内に引張・圧縮などの応力を生み出すはずですが、組織を作る細胞は外力の影響を受け流し、正常な形態を作ります。細胞たちはどのように場の高速変形の影響を回避して、複雑な構造を形作れるのでしょうか。高速運動を付与する機器の工作と、高速運動を可視化するハイスピードイメージングを駆使し、外力と内力の混線を防ぐシステムの解明を目指します。
Yasuoka Project :::: 準備中 ::::
Soichiro Kato* and Asako Shindo*, Direct quantitative perturbations of physical parameters in vivo to elucidate vertebrate embryo morphogenesis. Current Opinion in Cell Biology 90 (2024) Review 10.1016/j.ceb.2024.102420
Yohei Mizoguchi, Kaoru Nakashima, Ayato Sato, and Asako Shindo*, β-adrenergic receptor regulates embryonic epithelial extensibility through actomyosin inhibition. iScience 26(12) (2023) 10.1016/j.isci.2023.108469
Soichiro Kato* and Hidehiko Inomata*, Blastopore gating mechanism to regulate extracellular fluid excretion. iScience 26(5):106585 (2023) 10.1016/j.isci.2023.106585
Maki Takagishi, Binta Maria Aleogho, Masako Okumura, Kaori Ushida, Yuichiro Yamada, Yusuke Seino, Sayoko Fujimura, Kaoru Nakashima, and Asako Shindo*, Nutritional control of thyroid morphogenesis through gastrointestinal hormones. Current Biology 32(7): 1485–1496 (2022) 10.1016/j.cub.2022.01.075
Asako Shindo*†, Yasuhiro Inoue†, Makoto Kinoshita, and John Wallingford, PCP-dependent transcellular regulation of actomyosin oscillation facilitates convergent extension of vertebrate tissue. †equal contribution, Developmental Biology 446 (2) 159-167 (2019)
Asako Shindo*, Anastasia Audrey, Maki Takagishi, Masahide Takahashi, John Wallingford, and Makoto Kinoshita*, Septin-dependent remodeling of cortical microtubule drives cell reshaping during epithelial wound healing. Journal of Cell Science 131 (12): jcs212647 (2018)
Asako Shindo* Models of convergent extension during morphogenesis. WIREs Developmental Biology, 7(1): e293 (2017) Review
Asako Shindo and John B. Wallingford*, PCP and septins compartmentalize cortical actomyosin to direct collective cell movement. Science 343, 6171, 649-652 (2014)