Motivation

ユニークな共役電子系分子を創る  

CREATION OF UNIQUE CONJUGATED SYSTEMS

研究対象は,共役電子(π共役)系分子です。π電子は,光る,電子の受け渡しをする,集積するなどの機能を担います。共役電子系は,まだまだ私たちが知らない機能を秘めており,ユニークな分子には,新しい機能が宿っているはずです。​「構造」と「電子状態」の両面からユニークで,私たちの個性を込めた分子​を設計・合成し,最新の知見と技術を駆使して,その分子が秘める機能を余すところなく調べます(「美しきもののみ機能的である」丹下健三)。そのため,学内外の多くの研究者との共同研究を重視しています。構造-孤立分子物性-集合体物性の相関解明を通じて,基礎学術(有機化学,構造有機化学)の発展に貢献し,価値を創造することが,研究のモチベーションです。

​主な研究プロジェクトを下に3つ示しましたが,これ以外にも様々な共役電子系分子の合成・物性評価を手がけています。

Research Projects

開殻性/反芳香族性を示す縮合多環共役分子

反芳香族性や開殻性を示す共役分子は,一般的な芳香族性の閉殻分子に比べて,長波長の光を吸収したり,多段階の酸化還元を起こしたりします。反芳香族性/開殻性と,高い安定性を兼ね備えた縮合多環共役分子の開発に取り組んでいます。

安定な​ラジカルカチオン/ジカチオン

ラジカルカチオンやジカチオンは過渡種であるために,一般に不安定です。π電子系ラジカルカチオン/ジカチオン,特にトリフェニルアミン骨格に力点を置き,これを化学修飾することにより,大気下でも取り扱い可能なラジカルカチオンやジカチオンの開発に取り組んでいます。

自己集合する​共役複素環

平面性のディスク状共役分子は,溶液中で自己会合し,また固体状態で自己集合して高秩序な集積体を形成する傾向をもちます。複素芳香環を基本骨格として,多彩な自己集合 / 超分子挙動を示す平面ディスク状分子の開発に取り組んでいます。