第四十七號

特集「鬼」 2020年10月


◇作品解説


すでに何度か触れたように、1960年代、山口作品の表現スタイルは様々に変化してゆきます。そうした中で「金網彫刻」および「布張り彫刻」の次に辿り着いたのが「光の彫刻」でした。山口は非物質的な「光」それ自体を造形的な表現の要素として捉え、それを無機質なアクリル板で包み込むことで視認可能な虚のボリュームを生み出しました。その最初の作品は1965年制作の『Cの関係』です。そこでは、透明な塊と半透明の塊が組み合わされていますが、これは意図的に「ポジとネガの関係を、両方みせる」*ことを試みたものです。本號に掲載されている『作品』(1967,NST新潟総合テレビ蔵)は、同様のコンセプトをさらに発展させたものです。


―― 誌面上にも、山﨑均氏の寄稿による作品解説が掲載されています。



*『インテリア 第266号』,インテリア出版,1981年,p.40