第四十六號

特集「波」 2020年3月


◇作品解説


『宇宙の運行』(1950,千葉市美術館蔵)と題された本作品は、山口が実験工房のメンバーとして本格的に表現活動を開始する以前に制作された抽象絵画です。山口は大学在学中から岡本太郎らが主宰する美術講習会に参加して最新の芸術動向を学び、抽象的な絵画作品の制作を行っていました。この頃制作された作品の特徴として、本作品に見られるような、青みがかった黒とグレーの色使いが挙げられます。アメリカ製のアクリル絵具で描いたというその独特の色合いは、本作品のテーマである「宇宙」の深い闇を想像させます。


―― 誌面上にも、山﨑均氏の寄稿による作品解説が掲載されています