第十二號

特集「文字」 2003年3月


◇作品解説


テーマは「文字」ですが、本號には山口の解説文が掲載されていないため、作品選定のはっきりとした意図は分かりません。ドローイングの左上には多くの「+」の集合体が描かれていますが、おそらくこれは、抽象画家ピート・モンドリアンの作品から引用したものだと考えられます。モンドリアンは具象から抽象へと移行する過程で、+と−の記号のみで構成されたユニークな絵画を制作しました。山口はこれらの一連の作品について「宇宙的なリリシズムをたたえた作品」*だと述べ、高く評価しています。本號のテーマ「文字」から、記号化されたモンドリアン作品のイメージを想起したのかもしれません。



*山口勝弘『環境芸術家キースラー』,美術出版社,1978年,p.198