研究分野
行動生態学・陸水生態学・環境DNA
主な研究テーマ
「生物相互作用の解明・環境DNA分析手法の開発」
水棲動物が生活する水の中には、彼らが自然環境でどのようなことを感じ取り、どのように過ごしているのか、その生き様の端々を知ることができる様々な化学物質がこぼれ落ちています。私は、それらの物質を手がかりにして、捕食-被食関係の解明や水棲生物モニタリング法の開発などを進めています。
最近の研究
「環境DNAを用いた生物モニタリング手法の開発」
湖沼や河川で採取した水に浮遊・存在している魚の排泄物などから溶け出たDNA(環境DNA)を指標にして、自然環境中に生息する魚類の在不在や生息量を、採捕や目視などを必要とせず、わずか数リットルの水を調べるだけで簡便に評価できる手法を開発しました(Takahara et al. 2012, 2013 PLoS ONE)。この技術を用いてこれまでに、オキサンショウウオやタガメなどの絶滅危惧種や、ヤマトシジミやニホンウナギなどの重要水産資源の生息状況を明らかにしてきました。また近年では、環境中のRNAやタンパクにも着目して、水サンプルなどから対象種の生理状態や成長ステージなどを特定する新たな技術開発にも着手しています。
主要な研究業績
Takahara et al. (2023) Effective environmental DNA collection for an endangered catfish species: testing for habitat and daily periodicity. Ichthyological Research 70: 409-418.
Takahara et al. (2023) Development of primer-probe sets for environmental DNA-based monitoring of pond smelt Hypomesus nipponensis and Japanese icefish Salangichthys microdon. Landscape and Ecological Engineering 19: 11-19.
高原 (2022) コラム6 環境DNA:生物モニタリング方法の最前線.In: 身近な水の環境科学 第2版、40頁、朝倉書店
高原ほか (2022) オキタゴガエルRana tagoi okiensisにおける卵塊の発見例と捕食-被食関係の予備的観察. ホシザキグリーン財団研究報告 25: 271-276.
高原ほか (2021) 3.2 種特異的環境DNA手法を用いた希少両生類研究とモニタリング.In: 環境DNA―生態系の真の姿を読み解く―、57-69頁、共立出版
高原ほか (2021) 環境DNAを用いた宍道湖-中海を利用する海産魚2種の季節移動性の推定. ホシザキグリーン財団研究報告 24: 161-170.
Takahara et al. (2020) Suppression of eDNA degradation in water samples associated with different storage temperature and period using benzalkonium chloride. Limnology and Oceanography: Methods 18: 437-445.
Takahara et al. (2020) Comparison of the detection of 3 endangered frog species by eDNA and acoustic surveys across 3 seasons. Freshwater Science 39: 18-27.
Takahara et al. (2019) Using environmental DNA to estimate the seasonal distribution and habitat preferences of a Japanese basket clam in Lake Shinji, Japan. Estuarine, Coastal and Shelf Science 221: 15-20.