12.3 地理情報システム(GIS)

地方自治体などでは、道路台帳附図、下水道管理図、都市計画図、植生図、地質図などの膨大な地図を管理しており、これらを電子ファイルにして一つの電子媒体に記録できれば、管理するのが非常に容易になります。また、これら地図を重ね合わせることができれば、計画、施工方法、情報の関係性、パターンや傾向などを分かりやすいかたちで導き出すことができます。そのような思惑によって作られた情報システムを地理情報システムGIS:geographic information system)といいます。

GISは上述した地図や基盤地図情報(測量の基準点、海岸線、公共施設の境界線、行政区画などの情報)、国土数値情報(国土、政策区域、地域、交通などのデータ)、位置参照情報(住所などの情報)、総務省統計局がまとめた情報などがレイヤー分けされており、目的に応じたレイヤーを重ね合わせることで情報を可視化、統合することができます。

GISは2種類のデータに分けられます。道路の線や建物の輪郭線など地図上に表示される情報を形状情報、建物の名前や築年数など形状情報以外の情報を属性情報と呼んでいます。

また、電子媒体上で地図をデジタル表示するとき、ベクターデータラスターデータの2種類の表示方法があります。ベクターデータは地物を点(ポイント)、線(ライン)、面(ポリゴン)の3要素で表したものです。それぞれが座標と属性情報を持っており、地図上で表現されます。

ラスターデータは行と列の格子状(グリッド状)に並んだ細かい画素(ピクセル)で構成されるデータです。画素の中には色情報や数値情報などを持たせることができます。デジタルカメラなどで撮影した画像を拡大すると、四角形が格子状に並んでいることが分かると思います。そのため、デジタルカメラもラスターデータの一種といえます。

まとめとして、形状情報や属性情報を一つの電子媒体で作成・保存・利用・管理・表示・検索するシステムを地理情報システム(GIS)といいます。GISでデジタル表示をするとき、ベクターデータとラスターデータの2種類の表示方法があります。