11.3 流量測定

河川の流量測定方法は河川の規模により異なり、流量計測法、超音波測法、浮き測法、堰測法のいずれかを使用します。河川が小さい場合は流量計測法または超音波測法、河川が大きい場合は浮き測法を用います。堰測法は河川規模が小さく、堰があるときに用います。

河川の流量は、連続の式から平均流速と流積を測定すれば求めることができます。連続の式については水力学 3.4 流れの連続性を参照して下さい。

このとき、Qは流量 [m3/s]、Aは流積 [m2]、vmは流速 [m/s] です。

①流速計測法

流速計は水の流れを回転子に伝え、単位時間あたりの回転数から流速を算出する機械です。流速計による流速は次式によって求めることができます。また、一般に普及している流速計には円錐形回転子とプロペラ型回転子の2種類があります。

このとき、aとbは検定定数、nは1秒間の回転子の回転数 [rpm] です。

流速計から得られた流速の平均値は次式によって求めることができます。

また、流量計を使った流量の式は次のようになります。

このとき、Hは水深 [m]、Mは水深測線間隔 [m]、Nは流速測線間隔 [m] です。

水深測線間隔と流速測線間隔は国土交通省河川砂防技術基準(案)で次のように規定されています。

②浮き測法

浮き測法は比較的河川の直線区間が長く、流れが安定している箇所に浮きを流し、流速を測定することで流量を求める方法です。浮きを流すときは以下のことに注意する必要があります。

①浮き投下線から上流見通し線までの距離は30 [m] 以上または河川幅の1/3以上とする。

②上流見通し線から下流見通し線までの距離は50〜100 [m] 以上または河川幅の3〜5倍程度とする。

③流速は浮きが上流見通し線から下流見通し線までに流れる時間を計測することで求める。

③平均流速および更生係数は次式によって求める。

このとき、αは更生係数です。

また、浮きを流下して流速を測定する測線を浮き流速測線といい、その数は河川幅によって決定します。

浮き測法による流量の計算は次式によって求めることができます。

浮きには表面浮き、二重浮き、棒浮きの3種類があります。表面浮きは直径30 [cm] 程度の木片に目印用の小旗をつけたものが多く、水深70 [cm] 以下の河川で用いられます。二重浮きは表面浮きに水中浮きをつけたもので、平均流速を簡易的に求めることができます。棒浮きはプラスチックや金属のパイプの下端におもりをつけたもので、ライトをつけて夜間の測定に対応することができます。

③堰測法

河川の流量を測定するために設けられた堰を測定堰といい、四角堰と三角堰の流量公式は次のようになります。また、その他の堰の流量公式については水力学 4.4 堰を参照して下さい。

では、例題を2問解いていきます。

例題1:流速計測法による結果が下表のようになった。左岸の水際杭から追加距離18.00 [m] までの区間の流量を計算せよ。ただし、河川幅は52 [m]、平均流速は2点法を用いることとする。

河川幅が52 [m] なので、水深測線間隔は3.0 [m] になります。計算自体は簡単なので結果のみを表にまとめておきます。

例題2:浮きの流下距離が40.0 [m]、水深が0.6 [m] の河川において、表面浮きを使用したところ流下時間が25秒であった。この河川の平均流速を求めよ。

水深0.6 [m] の表面浮きの更生係数は0.85となります。では、流速および平均流速を求めていきます。

まとめとして、流量を測定する方法には流量計測法、超音波測法、浮き測法、堰測法があります。河川が大きな場合は流量計測法または超音波測法、河川が小さい場合は浮き測法を使用します。