河川測量の高低測量は、水準基準測量、定期縦断測量、定期横断測量、深浅測量に分類されます。
①水準基準測量
水準基準測量は定期縦断測量の基準となる水準点の標高を定める作業をいいます。定期縦断測量の基準となる水準点の標高は、東京湾平均海面(T.P.)を標準としています。また、水系固有の基準面がある場合はそちらを採用します。水準点の設置間隔は5〜20 [km] を標準としており、水準点の位置は点の記(点名、所在地、土地の所有者、設置年月日などを収録したもの)に記されています。
②定期縦断測量
定期縦断測量は定期的に縦断測量を実施して、縦断面図を作図する作業をいい、左右両岸の距離標の標高、堤防の地盤高、主要構造物の標高、距離標からの距離を測定しないといけません。また、定期縦断測量は原則として水準点から出発し、他の水準点に結合する必要があります。平地においては3級水準測量、山地については4級水準測量により行います。
③定期横断測量
定期横断測量は定期的に左右距離標の見通し線上の横断測量を実施して、横断面図を作図する作業をいい、距離標からの距離と標高を測定します。また、定期横断測量は水際杭を境にして、陸部と水部に分けられ、陸部は横断測量、水部は深浅測量により行います。定期横断測量の許容範囲は下図のとおりであり、国土交通省公共測量作業規定には下表のように記されています。
④深浅測量
深浅測量は河川、海岸、貯水池、湖沼における水底の地形を明らかにするために、水位や水深を測定し、横断面図を作成する作業をいいます。水位の測定は、水位標や検潮所から間接的に読み取る方法と直接的に測量する方法があります。直接水準測量により決定する場合は下図のように行います。
このとき、aは水際杭の基準高さ [m]、bは水面の基準高さ [m]、dは測深位置での水深 [m] です。
水深の測定は、水深が2 [m] 以上のときはロッド、水深が2〜3 [m] のときはレッド、3 [m] 以上のときは音響測深機を使用します。ロッドとレッドは先端部に採泥用空間をつけることができ、土質から河床の調査を行うことも可能です。
図a レッド
図b ロッド
河川の水位観測は経済的に変化する流量の推計や河床変動などを調査するために行います。水位観測には普通水位標と自記水位標を用います。水位観測局は河川の水位情報を自動的に観測し、所轄の河川管理局に転送しています。また、収集データは土木事務所などに配信され、迅速な水防システムの構築に寄与しています。さらに、水位情報は一般市民もホームページなどで確認することができます。ちなみに、水位の種類としては以下のようなものがあります。
①最高水位と最低水位:ある期間中の最高・最低の水位であり、年と月のものがある。
②平均最高水位と平均最低水位:ある期間中の最高・最低のの平均水位であり、年と月のものがある。
③平均水位:観測水位の合計を観測回数で割り、平均値として求めた水位。
④平均高水位:平均水位以上の水位の平均値。
⑤平均低水位:平均水位以下の水位の平均値。
⑥最多水位:ある期間中で最も多く起こる水位。
⑦最大渇水位:これまでの記録からわかっている最低の水位。
⑧渇水位:年間を通じて355日間はこれを下らない水位。
⑨低水位:年間を通じて275日間はこれを下らない水位。
⑩平水位:年間を通じて185日間はこれを下らない水位。
⑪豊水位:年間を通じて95日間はこれを下らない水位。
⑫高水位:年間を通じて1回または2回しか起こらない水位。
まとめとして、河川測量の高低測量には、水準基準測量、定期縦断測量、定期横断測量、深浅測量があります。水準基準測量は水準点を設置する測量、定期縦断測量は河川の縦断面図を作図する測量、定期横断測量は河川の横断面図を作図する測量、深浅測量は河川の水位と水深を測定する測量です。