魚類が生息できる河川の条件としては、①流量の確保、②水質の確保、③増水時(洪水時)の避難場所の確保、④餌の確保、⑤天敵からの保護、⑥産卵場の確保、⑦回遊路の確保などが挙げられます。以上の戦略が滞りなく実施されたとき、回遊魚のライフサイクルを正常化することができます。
魚類の生息場を評価する方法としてPHABSIM(Physical Habitat Simulation System)による方法があります。PHABSIMのモデルは現地調査によりある場所の水理量に適正度(SI)を設け、それらの値を掛け合わせることで合成適正度(CSI)を求める方法です。SIおよびCSIは次のように求められます。一般的にSIは速度、水深、河床材料、その他(水温やカバー率など)が用いられます。
得られた合成適正度から、全区域にわたり利用可能な生息場面積(WUA)が求められます。流量を変化させて同様の計算を繰り返し、流量とWUAの関係を算出します。この関係が分かれば、魚類の生息場面積を最大にするときの流量が示せるようになります。
このとき、aは流積 [m2] です。
まとめとして、魚類が生息条件としては、①流量の確保、②水質の確保、③増水時(洪水時)の避難場所の確保、④餌の確保、⑤天敵からの保護、⑥産卵場の確保、⑦回遊路の確保などが挙げられ、生息場を評価する方法としてPHABSIMがあります。PHABSIMを用いれば、ある魚種を対象として河川の改善をするときに事前のシミュレーションから有効な設計をすることが可能となります。