日本は北海道、本州、四国、九州と6.800余りの島々から形成されており、総面積は約380,000 [km2] と狭いにもかかわらず、海岸線の総延長は約35,000 [km] にも及んでいます。海岸線の総延長を国別で見ると日本は6位に位置しており、面積1,000 [m2] 当たりの海岸線延長は3位となります。一方で、国民一人当たりの海岸長は30 [cm] もありません。そのため、臨海地域は社会・経済・産業活動の場として貴重な空間となっています。
日本の堆積と侵食の比は1:2の割合で侵食が進んでおり、特に北海道でその割合が顕著に表れています。近年は海岸侵食が激化しており、年間1.6×106 [m2] または160 [ha] の貴重な国土が失われています。これは東京ディズニーランド3個分に匹敵する面積であり、このまま推移すると15年後には2,400 [ha]、30年後には4,800 [ha] もの面積が失われる計算になります。
全国に約19,000 [ha] ある砂浜は、遠浅の海岸線を形成することにより波浪の外力を減衰し、大陸への波の進入を防ぐ防災上の役割を持っています。しかし、防波堤やダム建設による土砂の供給量の減少により、15年間で2,400 [ha] の砂浜が失われており、被害が深刻化しています。
海岸線は一般的に陸地と海の境界とみなされていますが、海岸工学では波や潮汐の作用が及ぶ限界を指します。また、海岸はその構成物質の性状かた岩石海岸と砂浜海岸に大別されます。岩石海岸は波の作用によって侵食され、露出した岩石から成る海岸です。典型的な岩石海岸の地形として、海食崖と波食棚が挙げられます。
一方、砂浜海岸は土砂の供給により砂礫から成る海岸であり、荒天時の波により侵食され、静穏時の波により堆積されます。このような周期性があるために砂浜海岸は変化に富んだ地形が形成されます。
まとめとして、日本の海岸は侵食が激化しており、原因として防波堤やダム建設による土砂の供給量の減少が挙げられます。また、海岸には岩石海岸と砂浜海岸があります。