流体の運動を調べるためには、質量と加速度が必要になってきます。流体粒子の運動を調べる方法としてはラグランジュの方法とオイラーの方法があります。ラグランジュの方法は一つの流体粒子に着目し、粒子を追跡することにより運動方程式を記述します。そのため、この方法は質点の力学として捉えることができ、非常に理解しやすのが特徴です。
しかし、ラグランジュの方法は実用的ではない側面を持ちます。例えば、その理由の一つに天気予報が挙げられます。普段私達は天気予報を観るとき、自分の住んでいる地域の気温、降水量、風向などのデータが興味関心の対象となります。この気温、降水量、風向などのデータが次にどこに向かうかについてはあまり興味がありません。このように天気予報ではデータを追跡するよりも空間に着目した方が実用的といえます。このような方法で流体の運動方程式を記述する方法がオイラーの方法です。
まずは、ラグランジュの方法から加速度を求めていきます。
次に、オイラーの方法を使って、下図のような微小流体要素から運動方程式を立てていきます。非粘性流体の場合の要素に働く外力としては、圧力と単位質量当たりの力(質量力)が挙げられます。まずは、圧力のときの式を立てていきます。
一方、質量力は次式によって表されます。
このとき、XとYは質量力 [N/kg] です。
従って、x軸方向の運動方程式は次のようになります。
同様に、y軸方向の運動方程式は次のようになります。
これらの式をオイラーの運動方程式といい、三次元流れでは次式によって表されます。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:流体が静止しているときの等圧面の方程式を求めよ。
まずは、流体が静止しているので速度を0とおき、オイラーの運動方程式を式変形していきます。
次に、圧力を全微分し、上式を代入します。
等圧面では圧力が等しいのでdpは0となります。従って、等圧面の方程式は以下のようになります。
ちなみに、質量力をポテンシャル(単位質量当たりのエネルギー)で表すと、等圧面が等ポテンシャル面であることが分かります。
このとき、Ωはポテンシャル [J/kg] です。
まとめとして、流体の運動を調べる方法としては、一つの流体粒子に着目するラグランジュの方法と空間に着目するオイラーの方法があります。また、オイラーの方法から求めた運動方程式をオイラーの運動方程式といいます。