海浜形状は縦断面形状(岸沖方向)と平面形状(沿岸方向)に分けることができます。
海浜に一定の波高と周期の波が長時間作用すると、縦断面形状の変化が小さくなり平衡状態に達します。このときの形状を平衡断面形状と呼びます。平衡断面形状は正常海浜(ステップ海浜)と暴風海浜(バー海浜)に大別することができ、前者は段(ステップ地形)を有し、後者は沿岸砂州(バー地形)を有します。
砂村らは断面地形の変化で分類を行い、下図のように侵食型(タイプⅠ)、中間型(タイプⅡ)、堆積型(タイプⅢ) 分類しました。この三つの平衡断面地形は次式の無次元係数Cによって区分することができます。
このとき、H0/L0は深海波の波形勾配、βは海底勾配 [rad]、Cは無次元係数、d50は底質の平均粒径 [mm] です。
タイプⅠでは汀線が後退し、沿岸砂州が沖側に形成されます。タイプⅡでは汀線はほとんど変化しませんが、汀線の岸側や沖側に堆積します。タイプⅢでは汀線が前進し、沖側での堆積はありません。また、無次元係数と平衡断面形状には以下の関係が得られています。そのため、深海波の波形勾配が大きいときは侵食地形が形成されやすく、小さいときは堆積地形が形成されやすいです。
砂浜海岸の平面形状は下図のような代表的地形があります。
①砂嘴
海岸線の方向が陸側に向かっているところで漂砂の方向が一定であるとき、砂州の先端が伸びた砂嘴が形成されます。防波堤の先端部付近にも砂嘴が形成されることがあり、たまに砂嘴が長く発達し、湖を造ることもあります。このような湖には腐植土が堆積しやすく、極めて軟らかい腐植土地盤となります。
②舌状砂州とトロンボ
島や離岸堤の背後に回り込んだ波は波高減少と波向変化によって漂砂の輸送力低下を招きます。その結果、堆積し、形成した砂州を舌状砂州といいます。また、舌状砂州が発達し、陸と島または離岸堤が地続きになった地形をトロンボといいます。
③カスプ
砂礫でできた海岸の汀線付近に見られる波状のリズミカルな凹凸地形をカスプといいます。カスプの波長が数m〜数十mのカスプをビーチカスプ、数十m〜数百mのカスプをメガカスプ、それ以上のカスプをジャイアントカスプといいます。
④ポケットビーチ
両端を岬で囲まれた小規模な砂浜で凹状の安定した海浜をポケットビーチといいます。ポケットビーチの海浜砂の全量はほとんど変化しないのが特徴です。
まとめとして、海浜形状は縦断面形状(岸沖方向)と平面形状(沿岸方向)に分けることができます。縦断面形状の変化が小さくなり平衡状態に達したときの形状を平衡断面形状といい、平衡断面形状は正常海浜と暴風海浜に大別することができます。正常海浜は段を形成し、暴風海浜は沿岸砂州を形成します。砂浜海岸の平面形状で特徴的な地形としては砂州、舌状砂州、トロンボ、カスプ、ポケットビーチが挙げられます。