ポンプは動力によるエネルギーを水に与え、水を高いところへ持ち上げます。一方、水車は水の持つエネルギーを動力に変えます。
①ポンプ
管路の途中にポンプを設置して揚水する場合、エネルギー線は下図のようになります。ポンプで上がったエネルギー線の上昇値は次式によって表わされます。
このとき、Hpはポンプによるエネルギーの上昇値 [m]、Σhlは摩擦損失水頭の総和 [m]、Σhnは形状損失水頭の総和 [m] です。
また、ポンプのときはHを実揚程、Hpを全揚程と呼んでいます。揚水に際してポンプに与えるべき動力は次のように表わされます。
このとき、Spはポンプに与えられる動力 [kW]、Hpは全揚程 [m]、ηpはポンプの効率 [単位なし] です。
さらに、電動機(モーター)を用いてポンプを回す場合は、電動機の効率も考慮しなければいけないので必要な電力は次のようになります。
このとき、Sは供給すべき電力 [kW]、ηmは電動機の効率 [単位なし]、ηは合成効率 [単位なし] です。
合成効率は0.55〜0.85程度の値となります。
②水車
管路の途中に水車を設置したときのエネルギー線は下図のようになり、有効落差Heは次式で求められます。
このとき、Heは有効落差 [m]、Hは総落差(水位差)[m] です。
また、水車によって発生する動力は次のように表わされます。
このとき、Ptは水車によって発生する動力 [kW]、ηtは水車の効率 [単位なし] です。
さらに、水車によって発電機を回して電力を得る場合には、発電機の効率も考慮しなければいけないので発電機による出力は次のように表わされます。
このとき、Pは出力 [kW] です。
水車と発電機の合成効率は0.75〜0.85程度の値となります。それでは、例題を1問解いてみましょう。
例題:ポンプによって20 [m] の高さの所に流量0.05 [m/s3] の水を揚水したい。このとき、揚水に必要な電力を求めよ。ただし、管径D=0.2 [m]、管長l=30 [m]、粗度係数n=0.012、流入損失係数fe=0.5、曲がりの損失係数fb=03、弁類損失係数fv=0.8、流出損失係数f0=1.0、合成効率η=0.7とする。
まずは、速度水頭を求めていきます。
次に、摩擦損失係数、摩擦損失水頭、形状損失水頭を求めます。
これで、全ての情報が揃いましたので、揚水に必要な電力を求めていきます。
まとめとして、動力をエネルギーに変換するものとしてポンプ、エネルギーを動力に変換するものとして水車があります。ポンプがあれば水を8 [m] 以上の高さに持ち上げることが可能となります。