断面形状が急激に変化したり、湾曲部・蛇行部など平面形状が複雑な河川では一次元解析を用いても十分な精度の予測が行えません。そのような場合は二次元あるいは三次元の方程式を用いた解析が行われます。しかし、高次元になるほど計算が複雑となるため、一般的に深さ方向の流れはないものとした二次元の浅水方程式による解析が広く用いられています。
また、洪水時の破堤および越流による堤内地の氾濫は甚大な災害をもたらします。そのため、洪水氾濫の解析は水害防止計画やハザードマップを作成する上でも重要といえます。氾濫水の流れは時間的・平面的な広がりをもつことから、氾濫域内の水深は小さいとみなすことができ、二次元解析がよく用いられます。氾濫予測に用いる平面二次元流解析に必要な情報としては、①破堤・越流部の形状、②ハイドログラフ、③氾濫域内の地形や構造物、④土地利用状況があり、これらを合理的に組み込むことが重要となっています。ちなみに、破堤幅については過去のデータから経験式が提案されています。
このとき、Bbは破堤後にt時間経過したときの破堤幅 [m]、Bbfは最終破堤幅 [m]、Bは河川幅 [m] です。
破堤断面を越流した流れは完全越流または潜り越流となります。そのときの流量は本間公式によって求めることができます。
完全越流
潜り越流
まとめとして、断面形状や平面形状が複雑な河川は、一次元解析によって十分な精度の予測が行えないため、深さ方向の流れがない二次元解析が行われます。この二次元解析は洪水氾濫の解析にも用いられています。