曲面に作用する静水圧は、静水圧が斜めに作用します。この静水圧を一つの合力として表すことは困難なため、まずは水平方向と鉛直方向に分解しなければいけません。最も有名な問題が一つありますので、その問題を例に考えていきましょう。
※奥行き幅Bは2.0 [m] です
上図に描かれている円をローリングゲートといいます。ローリングゲートはダムの水を堰き止めているゲートの一種であり、ゲートを上下させる際に名前のとおり回転しながら動きます。古いダムにはよく採用されていますが、最近はシェル構造ゲートに変更しつつあります。今、ローリングゲートに静水圧がかかっています。前回も述べましたが、圧力は面に対して垂直に作用します。ローリングゲートの断面は円形ですので、静水圧は全て円の中心に向かって作用します。では、ローリングゲートにかかる鉛直方向の力(浮力)を求めていきます。
また、水平方向の力について求めていきます。
次に、鉛直方向の力の作用位置、水平方向の力の作用位置を計算します。このとき、鉛直方向の力の作用位置は、水圧が三角形分布で作用することから2h/3となります。式の導出については3.3 鉛直な平面に作用する静水圧を参照して下さい。水平方向の力の作用位置は力のモーメントを使って求めます。円の中心は必ずモーメントが0になり、釣り合い式が立てられます。
最後に、水平方向の力と鉛直方向の力の合力を求めます。合力の計算は各成分の2乗を足し合わせてから平方根をとれば求まります。
まとめとして、曲面に作用する静水圧の合力は水平方向と鉛直方向に力を分解してから求める必要があります。