コンクリートの品質には種々の原因によってばらつきが生じます。このばらつきは原因追求により取り除けるものと偶然法則のため取り除けないものに分けることができます。ばらつきが生じる原因としては材料による誤差、製造による誤差、試験による誤差などが考えられます。これらの原因がある程度取り除くことができたときに統計学を用いた品質管理が行えるようになります。
管理の対象となる品質としては圧縮強度、スランプ値、空気量などがあるのですが、これら特性値は一般に正規分布に従うことが分かっています。また、平均値、標準偏差、正規分布曲線、変動係数は次式によって表すことができます。
このとき、mは平均値、σは標準偏差、p(x)は正規分布曲線、Vは変動係数です。
圧縮強度試験の結果、平均値が32 [N/mm2]、標準偏差が3 [N/mm2] であり、不良率Pを5%まで許容したときの強度は次のように求めることができます。また、正規分布図と正規分布表も示しておきます。
コンクリートの品質を管理するときは管理図がよく使われます。管理図は上方管理限界線、下方管理限界線、中心線をもつ図であり、品質の変動を速やかに判定するために用いられます。管理図には様々な種類が存在するのですが、ここではX管理図について説明しておきます。
X管理図はサンプルの個々の観測値を評価するための管理図であり、良好な状態と異常な状態の管理図は以下のように描かれます。
良好な状態
異常な状態
また、管理限界線の内側にあっても、中心線の片側に偏って打点している場合は要注意な状態です。この状態のときは原因の究明と対策を講じる必要があります。
要注意な状態
まとめとして、コンクリートの品質のばらつきは正規分布に従います。また、コンクリートの品質を管理するときは管理図が使われます。管理図には上方管理限界線、下方管理限界線、中心線が設けられており、品質状態を良好、異常、要注意に分けることができます。