寒冷地で外気が氷点下以下になると、コンクリート中の水分が凍結し、膨張します。凍結融解による内部膨張を繰り返すことによってコンクリートにひび割れが発生し、耐久性が損なわれることを凍害といいます。そのため、構造物の南側は日射による凍結融解が繰り返されるため、北側よりも凍害が発生しやすくなります。
凍害によってコンクリート表面にクレーターのようなくぼみができることがあり、これをポップアウトといいます。ポップアウトは骨材の品質が悪いと起きます。また、コンクリート表面が凍結融解の繰り返しによフレーク状に剥がれ落ちる現象をスケーリングといいます。
凍害を抑制する方法としてはAE剤がよく使用されます。AE剤を添加するとエントレインドエアが増加するため、凍害時の水分の逃げ道を確保することができます。その他の方法としては、水セメント比を小さくする、吸水率の小さい骨材を使用する、雪などの水分の供給源を断つなどがあります。凍害を抑えるためには水量と空気量が非常に重要となります。
現在、凍害を受ける鉄筋コンクリート構造物の状態は4つに分けられており、劣化状態と劣化の進行度の関係性は以下のように示されています。
ちなみに、冬季に凍結防止剤を散布する地域は塩害についても考慮する必要があります。凍結防止剤はコンクリート中のイオン濃度を高くし、浸透圧による静水圧を大きくすることからスケーリング量が増加するといわれています。
まとめとして、コンクリート中の水分が凍結融解し、膨張を繰り返すことによって耐久性を損なう現象を凍害といい、ポップアウトやスケーリングを発生させます。凍害を抑えるためには空気量を多くし、水量を少なくすることが重要です。