鉄筋表面からコンクリート表面までの最短距離をかぶり厚さといいます。かぶりはコンクリート中の鉄筋が十分な付着強度を発揮するため、鉄筋腐食を防止するため、火災から鉄筋を守るためなどに必要であり、かぶりの最小値は次式によって表わされます。
このとき、cminはかぶり厚さの最小値 [mm]、αはコンクリートの設計基準強度による係数、c0は許容できるかぶり厚さの最小値 [mm] です。
また、許容できるかぶり厚さの最小値は部材の種類から決定することができます。
補足として、以下に述べる事項が決められています。
①防錆加工をした鉄筋を用いる場合は一般環境として取り扱う。
②コンクリートが地中に直接打ち込まれるときのかぶり厚さは75 [mm] 以上とする。
③水中で施工し、不分離性コンクリートを用いないときのかぶり厚さは100 [mm] 以上とする。
④流水等によるすりへりがあるときのかぶり厚さは通常の値に10 [mm] 以上加える。
⑤耐火を必要とするときのかぶり厚さは一般環境に20 [mm] 以上加える。
⑥酸性河川等の強い化学作用を受けるときは、かぶり厚さを大きくして劣化を防止することはできないので、保護層などによって対処する。
⑦完成後の点検・補修が困難なときのかぶり厚さは腐食性環境で75 [mm] 以上、厳しい腐食性環境で100 [mm] 以上とする。
配置された鉄筋の上下左右の間隔を鉄筋のあきといいます。鉄筋のあきはコンクリートの打ち込み、締固めが十分に行えるように、コンクリート中の鉄筋が十分な付着強度を発揮するために適切な値を定める必要があります。そのために、以下に述べる事項に注意する必要があります。
①はりの場合:軸方向鉄筋の水平方向のあきは20 [mm] 以上、鉛直方向のあきは20 [mm]以上、粗骨材の最大寸法の4/3以上、鉄筋の直径以上とする。
②柱の場合:軸方向鉄筋の水平方向のあきは40 [mm] 以上、粗骨材の最大寸法の4/3以上、鉄筋の直径の1.5倍以上とする。鉄筋のあきがはりより大きいのは、コンクリートの打ち込みが比較的難しいためである。
③束ねる場合:複雑な配筋で十分な締固めが行えず、かつ、32 [mm] 以下の異形鉄筋を用いる場合は軸方向鉄筋を上下に2本ずつ束ねてもよい。
まとめとして、鉄筋からコンクリートまでの距離をかぶり厚さ、鉄筋の中心間隔を鉄筋のあきといいます。