中性化に伴う鋼材腐食の照査は中性化深さの設計値と鋼材腐食発生限界深さによって行われます。
このとき、ydは中性化深さの設計値 [mm]、ylimは鋼材腐食発生限界深さ [mm]、γcbは中性化深さのばらつきを考慮した係数、αdは中性化速度の設計値 [mm/√year]、tは耐用年数 [year]、ckは中性化残り [mm] です。
また、中性化速度の設計値は次式によって求めることができます。
αkは中性化速度の特性値 [mm/√year]、βeは環境作用を表す係数、W/Bは有効水結合材比、Cpはポルトランドセメントの単位量 [kg/m3]、Fは混和剤の単位量 [kg/m3]、kは混和剤の種類により決まる係数です。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:乾燥しやすい環境に矩形柱張出式橋脚を建設する。橋脚ばりの側面かぶり厚さを60 [mm] としたときの中性化に対する耐久性を照査せよ。ただし、耐用年数は100年、セメントは高炉セメント、高炉スラグの混入率は45%、水セメント比は50%、中性化残りは25 [mm]、構造物係数は1.0とする。
まずは、有効水結合材比、中性化速度の特性値、中性化速度の設計値を求めていきます。有効水結合比を求めるときは水セメント比と高炉スラグの混入率を活用します。
では、中性化に対する耐久性の照査を行います。
計算の結果、はり側面は危険であることが分かりました。中性化に対して所要の耐用年数を満足しない場合は、かぶり厚さを大きくする、水セメント比を小さくするなどの対策が必要となります。
まとめとして、中性化に対する照査は鋼材腐食の照査は中性化深さの設計値と鋼材腐食発生限界深さによって行います。また、中性化深さの設計値は√t法によって求めることができます。