コンクリート構造物の健全度を判定する場合、直接構造物から供試体を抜き出して試験を知れば確実に求めることができます。しかし、この方法では構造物に損傷を与えることになり、修理費などの経費が多大な額になってしまいます。このような破壊試験に対し、供試体を抜き出すことなく検査する方法を非破壊試験と呼んでいます。
コンクリートの非破壊試験としては、表面硬度方法、音響学的方法、放射線方法、サーモグラフィーなどが挙げられます。ここでは、現在最も一般的に利用されている表面硬度方法と音響学的方法について説明していきます。
①表面硬度方法
表面硬度方法はハンマーなどによってコンクリート表面に一定のエネルギーを与え、生じた凹みの直径や反発力からコンクリートの圧縮強度を求める方法です。この方法は操作が容易であり、手軽に試験することができるのですが、測定精度はあまり良くありません。反発力による方法の代表的なものとしてシュミットハンマーがあり、次式によって圧縮応力が求まります。
このとき、R0は基準反発硬度 [N/m2]、Rは測定反発硬度 [N/m2]、⊿Rは補正値 [N/m2] です。
補正値はシュミットハンマーの打撃方向が傾斜している場合やコンクリートが打撃方向に圧縮を受けている場合に加える必要があります。
②音響学的方法
コンクリート供試体の縦振動、たわみ振動、ねじり振動の一次共鳴振動数を求め、これらから弾性係数、せん断弾性係数、ポアソン比などを求めるのが音響学的方法です。その中でも共鳴振動法(ソニック法)はJISによって規定されています。この試験方法は供試体の経年変化を精度よく測定できるため、コンクリートの劣化程度を測定するときによく用いられます。
まとめとして、コンクリートの非破壊試験には表面硬度方法、音響学的方法、放射線方法、サーモグラフィーなどがあります。また、表面硬度方法と音響学的方法の代表的な手法としてシュミットハンマーと共鳴振動法が挙げられます。