コンクリートの種類としては暑中コンクリート、寒中コンクリート、マスコンクリート、流動化コンクリート、高流動コンクリート、高強度コンクリート、舗装コンクリートなどが挙げられます。
①暑中コンクリート
普通コンクリートは気温が高くなると凝結時間が短くなり、水分蒸発量が多くなるために悪影響が出てきます。そこで、日平均温度25℃を超えることが予想されるときは暑中コンクリートが使用されます。暑中コンクリートはスランプ値が低く、コールドジョイントやプラスティック収縮が発生しやすい特徴を持っています。また、初期強度は発現するのですが、長期強度は小さくなる傾向にあります。
②寒中コンクリート
普通コンクリートは気温が低くなると凝結時間が長くなったり、最悪の場合は凍結します。そこで、日平均温度4℃以下になることが予想されるときは寒中コンクリートが使用されます。寒中コンクリートはセメント以外の材料を温めて使用することが特徴であり、打設後91日までの積算温度は840 [℃・日] を下回らないといけません。積算温度は以下の式によって表わされます。
このとき、θzは養生温度 [℃] です。
③マスコンクリート
マスコンクリートは部材の最小厚さが80 [cm] 以上のときに使用するコンクリートであり、水和熱による温度ひび割れが発生しやすい特徴を持っています。温度ひび割れの発生要因としては外部拘束と内部拘束の2つあります。外部拘束はコンクリートの接する部分が岩盤や既設コンクリートによって拘束されていることを指し、外部拘束とコンクリートの収縮によって発生するひび割れを貫通ひび割れといいます。一方、内部拘束はコンクリート表面と内部が拘束されていることを指し、内部拘束とコンクリートの収縮によって発生するひび割れを表面ひび割れといいます。
④流動化コンクリート
流動化コンクリートは流動化剤を添加し、撹拌することで流動性を増大させたものであり、プレキャストコンクリート(あらかじめ工場で製造したコンクリート)に使用されます。流動化コンクリートの特徴は単位水量を増やさずにスランプ値を大きくすることができます。
⑤高流動コンクリート
高流動コンクリートは流動化コンクリートより流動性を高めたコンクリートであり、振動による締固めを行わなくても、材料分離を生じることなく型枠に充填することができるコンクリートです。高流動コンクリートには粉体系、増粘剤系、併用系の3種類があります。
⑥高強度コンクリート
高強度コンクリートは普通コンクリートより強度を高めたコンクリートであり、高層建築や大スパン建設が可能なコンクリートです。単位水量が少ないためにひび割れやコンクリートの劣化を防ぐことができ、構造物の寿命を長くすることができます。コンクリート標準示方書では設計基準強度が60〜100 [N/mm2] 程度のコンクリートと定義しています。
⑦舗装コンクリート
舗装コンクリートは普通コンクリートより単位水量が少なくした硬練りのコンクリートであり、道路や空港で使用されます。日本での普及率は低いのですが、ライフサイクルコスト(生涯費用)を抑えることができる、劣化しにくい、アスファルトと比べて路面温度を低減することができるなどの長所があります。また、さらに単位水量を少なくした超硬練りのコンクリートを転圧コンクリートと呼びます。
その他のコンクリート(特殊コンクリート)としては、水中で施工する場合に使用する水中コンクリ-ト、消波ブロック(テトラポッド)など海水付近で使用する海洋コンクリート、プールや水槽などの大きな水圧が作用する場所で使用する水密コンクリート、原子力発電所などで放射線を遮へいするときに使用する遮へいコンクリート、圧縮空気によりコンクリートを吹き付けることで補修・補強を行う吹付けコンクリート、軽量骨材や気泡剤を使用した軽量コンクリート(気泡コンクリート)、再生骨材を使用した再生コンクリート、月面のレゴリスを使用したルナコンクリートなどがあります。
まとめとして、コンクリートは環境条件や施工条件によって様々なものが開発されており、条件に応じて使うべきコンクリートを検討する必要があります。コンクリートの種類としては暑中コンクリート、寒中コンクリート、マスコンクリート、流動化コンクリート、高流動コンクリート、高強度コンクリート、舗装コンクリート、特殊コンクリートがあります。