コンクリートを作るときに強度、耐久性、ワーカビリティを設定し、セメント、粗骨材、細骨材、水、混和材料の使用量を選定することを配合設計といいます。配合設計は以下の手順で決定していきます。
①粗骨材の最大寸法の選定
粗骨材の最大寸法が大きいほど単位水量は少なくなり、単位セメント量も減らすことができます。また、鉄筋コンクリートの場合は鉄筋が入り組んでおり、形状も複雑なため、粗骨材の最大寸法に制限が設けられています。鉄筋コンクリート、無筋コンクリートの粗骨材の最大寸法の標準値は以下の表を参考にして下さい。
②スランプ値、空気量の選定
スランプ値とは凝結前のコンクリート(フレッシュコンクリート)の流動性を示す値であり、値が大きくなるほど流動性は高くなります。スランプ値の標準値は以下の表を参考にして下さい。また、コンクリートの空気量はコンクリート容積の4〜7%を標準値としています。
③配合強度の設定
配合強度は設計基準強度と構造物の重要性、環境条件などの現場条件におけるコンクリート強度のばらつきを考慮して設定します。そのため、標準偏差が大きい場合は配合強度を大きくする必要があります。また、配合強度は次式によって表わされます。
このとき、f'crは配合強度 [N/mm2]、f'ckは設計基準強度 [N/mm2]、αは割増係数 [単位なし]、Vは変動係数 [%] です。
④水セメント比の決定
水セメント比は水とセメントとの割合を表したものです。水セメント比は配合強度から求める方法と耐久性から求める方法があり、水セメント比が小さい方を選ばないといけません。配合強度から求める場合は次式から求めます。
このとき、C/Wはセメント水比 [単位なし] です。
式中のAとBは係数であり、セメント水比が異なるコンクリートを3種類以上作製し、最小二乗法から求めます。また、求めたセメント水比を逆数にすると水セメント比が求まります。ちなみに、耐久性から水セメント比を求めるときは次の表を使います。
⑤単位水量、単位セメント量
単位水量の増加は単位セメント量の増加を招き、温度ひび割れや乾燥ひび割れを発生させる可能性が大きくなります。そのため、単位水量はできるだけ小さくする必要があります。また、単位水量の上限は粗骨材の最大寸法が20〜25 [mm] のときは175 [kg/m3]、40 [mm] のときは165 [kg/m3] と決められています。
単位セメント量は水セメント比と単位水量から求めていきます。単位セメント量も単位水量と同様にできるだけ小さくする必要があります。
⑥細骨材率
細骨材率は骨材中の細骨材の割合を示したものであり、細骨材の増加は乾燥収縮が起きやすくなるため、細骨材率はできるだけ小さくする必要があります。
このとき、s/aは細骨材率 [%] です。
⑦配合の補正
試し練りによって作られたコンクリートの品質が要求された結果にならなかったときは下の表のように補正していきます。
⑧示方配合
配合設計条件になるように何度も繰り返し、最終的に得られたコンクリート1 [m3] の配合を示方配合といいます。示方配合の骨材は表乾状態であり、粗骨材は5 [mm] のふるいに全部留まるもの、細骨材は5 [mm] のふるいを全部通るものを用いています。現場でコンクリートを練混ぜるときは骨材の状態が異なるので、示方配合を元に現場配合に換算する必要があります。
まとめとして、配合設計はコンクリートの強度、耐久性、ワーカビリティを設定し、セメント、粗骨材、細骨材、水、混和材料の使用量を選定することをいいます。配合設計をする際は様々なところに注意しながら選定をしていく必要があります。