ここでは、よく使われている混和剤に絞り説明をしていきます。
①AE剤
コンクリート内部にはエントラップドエア(巻き込み空気)、エントレインドエア(連行空気)と呼ばれる気泡が入っています。エントラップドエアは粗大でいびつな形状であり、あまりよくない気泡とされています。一方、エントレインドエアは独立した微細できれいな球状をしており、コンクリートのワーカビリティを向上することができます。このエントレインドエアを生成する混和剤がAE剤です。AE剤は界面活性剤の一種であり、様々な種類が開発されています。
②減水剤・AE減水剤
減水剤はコンクリートに必要な単位水量を減少させる混和剤であり、AE減水剤はAE剤と減水剤の両方の機能を兼ね備えた混和剤です。セメントに減水剤を入れるとセメント粒子に陰イオンが付着し、反発力によりセメント粒子が分散していきます。その結果、コンクリート内部が均一化され、強度が増加するために単位水量を減らすことができます。
③高性能減水剤・高性能AE減水剤
高性能減水剤、高性能AE減水剤は減水剤よりセメント粒子の分散性が優れており、さらに単位水量を減らすことができます。また、多く添加しても硬化の遅延や強度の低下などに悪影響はありません。これらはその特徴を活かし、高強度コンクリート、水中コンクリート、特殊コンクリートなどに広く利用されています。
④遅延剤・促進剤・急結剤
高温時のコンクリートやマスコンクリートは施工する際に凝結時間を遅くすることが求められます。このような場合に使用される混和剤が遅延剤です。逆に、凝結時間を速くすることで初期強度を早期に発現させる混和剤が促進剤です。促進剤は寒冷地のコンクリートなどでよく使用されます。また、経済性、優位性の観点から原料に塩化カルシウムが利用されるのですが、塩化物イオンは鉄筋を腐食させる要因となるので使用量に制限が設けられています。急結剤は吹付けコンクリートなどの数秒で硬化させたいときに使われる混和剤です。
⑤分離低減剤・増粘剤
分離低減剤、増粘剤はコンクリートの材料分離を抑えたいときに使用される混和剤であり、水中コンクリートや吹付けコンクリートなどに利用されます。
⑥収縮低減剤
セメントやコンクリートは硬化後に収縮する性質があり、その要因として自己収縮、乾燥収縮、プラスティック収縮、温度収縮の4つが挙げられます。収縮低減剤はこのうちの自己収縮と乾燥収縮を抑えることができる混和剤です。膨張材はエトリンガイトを生成することでコンクリート自体を膨張させるのに対し、収縮低減剤は水の表面張力を弱めることで収縮自体を抑えようとします。
⑦防錆剤
防錆剤は金属表面に付着することでアノード反応、カソード反応を制御し、腐食を抑制する混和剤であり、亜硝酸塩を主成分とする亜硝酸カルシウム、亜硝酸リチウムがよく使用されています。
まとめとして、混和剤にはAE剤、減水剤、高性能減水剤、遅延剤、促進剤、急結剤などがあります。ちなみに、その他の混和剤としては流動化剤、防凍剤、水和熱低減剤などが挙げられます。