鉄筋コンクリートばりは引張鉄筋を用いて曲げモーメントに抵抗できるようにしているのですが、せん断力によって破壊することがあります。そのため、せん断応力度の安全性を照査する必要があります。まずは、単鉄筋長方形断面のせん断応力度の式を導出します。
はりの長さ方向に微小距離dlだけ離れた2断面で釣り合い方程式を考えます。また、曲げモーメントによる圧縮応力度の式も書いておきます。
これらの式を釣り合い方程式に代入します。すると、単鉄筋長方形断面のせん断応力度の式が求まります。
また、中立軸以降のせん断応力度は最大せん断応力度となり、次式によって表わされます。
単鉄筋T形断面の最大せん断応力度は次式によって求めることができます。中立軸の位置がフランジ、ウェブのどちらにあっても次式で計算するのですが、中立軸の位置がフランジにあるときはアーム長の係数を求めるときに単鉄筋長方形断面の式を使用して下さい。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:フランジ幅1,600 [mm]、フランジ厚さ180 [mm]、ウェブ幅360 [mm]、有効高さ500 [mm]、鉄筋8-D32 (31.8) の単鉄筋T形断面にせん断力250 [kN] が作用したときの最大せん断応力度を求めよ。また、コンクリートの設計基準強度を24 [N/mm2] としたときの安全性を照査せよ。
まずは、中立軸の位置を確認していきます。
従って、現在の設計状況では危険であり、斜め引張鉄筋で補強する必要があります。
まとめとして、せん断応力度ははりに作用するせん断力、アーム長の係数、幅、有効高さがあれば計算することができます。また、許容せん断応力度はコンクリートの設計基準強度から求められます。