構造用鋼材の種類としては、SS材(一般構造用圧延鋼材)、SM材(溶接構造用圧延鋼材)、SMA材(溶接構造用耐候性圧延鋼材)、条鋼の4つが挙げられます。
①SS材(steel structure)
SS材はJIS規格(日本工業規格)において、SS330、SS400、SS490、SS540の4種類が規定されています。また、SSに続く数字は引張強度を表わしています。特に、SS400は流通量が多く、鉄鋼材料の中でも代表的な存在です。
SS300、SS400、SS490は広汎な用途を想定して機械的性質(降伏応力、引張強度)とリンと硫黄の含有量で基準を設けています。SS540については炭素とマンガンの含有量も制限されています。これらのことから、SS材は引張強度については保証されていますが、延性や溶接性については考慮されていないことが分かります。
②SM材(steel marine)
SM材は本来は船体の溶接用鋼材として開発されていました。しかし、土木分野でも使えることが分かったため、現在では多くのSM材が使用されています。SM材は溶接用として製造されているために鋼材の炭素含有量が高いと溶接部分が熱せられ、冷えたときに脆くなってしまいます。そのため、SM材は添加する元素の量や炭素当量(添加する元素を炭素に換算したときの値)が制限されています。炭素当量は溶接性の難易を判断する指標としても扱われています。
このとき、Ceqは炭素当量 [%] です。
表内のSM材のA・B・Cの記号はシャルピー吸収エネルギーにより分類されたものであり、これは材料の粘り強さを表しています。ちなみに、Aは規定なし、Bは27 [J]、Cは47 [J] です。
③SMA材(steel marine atmosphere)
SMA材はSM材に耐候性(大気中の腐食に耐える性質)を持ち合わせた鋼材です。耐候性はリン、銅、クロムの添加によって向上するのですが、リンは溶接性がよくないので、銅またはクロムが一般的に使用されます。また、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)のうち、いずれか1種類以上を添加しないといけません。
④条鋼
条鋼は断面の長さに比べて著しく長い鋼材の総称であり、棒鋼、線材、レールなどが挙げられます。ここでは、棒鋼について詳しく説明していきます。棒鋼は棒状に圧延または鋳造された鋼のことであり、丸鋼と異形棒鋼の2種類があります。丸鋼は鉄筋の表面がツルツルであるのに対し、異形棒鋼はコンクリートとの付着強度を高めるため表面に節状の突起をつけています。
JIS規格では丸鋼として2種類、異形棒鋼として5種類の鉄筋を規格材料に指定しています。
また、異形棒鋼は表面にリブや節の凹凸があるため、公称直径だけを記載しても実際の値が分かりません。そのため、呼び名と呼ばれる名称をつけ、それによって各諸量が計算できるようになっています。
まとめとして、構造用鋼材の種類としては、SS材、SM材、SMA材、条鋼の4つがあります。SS材は最も使用されている鋼材ですが、溶接する部材には向きません。溶接するための鋼材としてはSM材とSMA材があります。また、条鋼の一つである棒鋼は丸鋼と異形棒鋼に分けることができます。異形棒鋼は鉄筋コンクリートに使用され、今後よく出てくるので覚えておいて下さい。