鋼の性質は物理的性質と機械的性質に分けることができます。物理的性質は古典物理学で扱われる材料の諸性質を意味し、機械的性質は引張や圧縮などの外力に抵抗する性質を意味します。
①鋼の物理的性質
一般に鋼の炭素含有量の増加すると密度や熱膨張係数、熱伝導率などは減少し、比熱や電気抵抗は増加します。また、鋼の温度が上昇すると、熱膨張係数と電気抵抗は増加し、熱伝導率は減少します。
②鋼の機械的性質
鋼の弾性係数は炭素含有率や熱処理によって変化せずほぼ一定であり、200 [kN/mm2] くらいの値を取ります。また、鋼の強度は材料試験によって求められます。鋼の材料試験の中で最も一般的なのは引張試験であり、引張強度はこの試験から求まります。さらに、降伏応力は引張強度と密接な関係があり、生材では引張強度の50%、熱処理材では引張強度の70%〜80%となります。
耐震設計などでは鋼の伸びが重要視されます。伸びは延性(伸びやすい性質)の指標であり、鋼の伸びは炭素含有量が増加すると大きくなります。一般的に、鋼の伸びは5%以上であることが望ましいとされています。
まとめとして、鋼の炭素含有量が増加すると密度や熱膨張係数が増加します。一方、鋼の炭素含有量が増加しても弾性係数はあまり変化せず、200 [kN/mm2] くらいの値で収まります。また、鋼の伸びは炭素含有量が増加すると大きくなります。