桜はバラ科サクラ属の広葉樹です。桜は日本に12種ほどあり、日本の国花に指定されています。どの種の花も美しく、カンヒザクラは1〜2月、ソメイヨシノは3〜4月、オオヤマザクラは5〜6月、チシマザクラは7月、フユザクラは11〜12月が開花期となっています。そのため、日本列島では桜がほぼ1年中咲いています。桜の語源は動詞の「咲く」に複数を表す「ら」が付き、名詞になったと考えられています。
現在、桜といえばソメイヨシノです。このソメイヨシノは東京都染井村の植木職人がオオシマザクラ、エドヒガンザクラ、ヤマザクラを交配したことによって作りあげました。ソメイヨシノが人気な理由としては、花と葉のできる時期がずれていることが挙げられます。通常、桜は葉と花が同時に出てくるのですが、ソメイヨシノは花しかありません。また、ソメイヨシノの花弁は大きめであり、非常に見応えのある観賞用の桜として品種改良されています。一方で、ソメイヨシノは高温や病害虫に弱く、寿命が短いです。また種子はできず、接木で増やすしかありません。
桜の中でも山桜が一般的に木材として使用されています。そのため、ここから先は山桜について述べていきます。
山桜の気乾比重は0.48〜0.74と比較的重硬であり、重さの割には材質が素直で反りや狂いが少ないです。また、また、耐水性が高く、害虫にも強いので保存性は非常に高い木材だといえます。圧縮強さは4.5 [kN/cm2]、引張強さは15.0 [kN/cm2]、曲げ強さは10.5 [kg/cm2]、 せん断強さは0.15 [kg/cm2]、曲げ弾性係数は1200 [kN/cm2]となっており、粘り気による強度が高く、加工しやすいために素直で扱いやすいです。また、磨くと光沢がでる上に桃色の色調も美しいという特徴を持ちます。
山桜の心材は赤褐色であり、暗緑色の縞模様が不規則ですが現れます。辺材は淡黄褐色ないし黄白色で、心材との差ははっきりしています。また、生育中に虫の害を受け易いためか木材には傷跡が癒合した組織(ピスフレック)である小さい斑点が多数あります。現在は蓄積量が少ないにもかかわらず、その人気ゆえに市場ではなかなか良材を入手する事が難しくなってきています。そのため、建設材料として利用されることは少ないです。昔は測量用三脚などにも使用されていました。
まとめとして、建設材料として使用される桜には山桜があります。山桜は反りや狂いが少なく、加工しやすいのが特徴です。また、害虫にも強く、保存性は非常に高いです。しかし、需要と供給が成り立っていないために、値段が増加し続けている現状にあります。