欅はニレ科ケヤキ属の広葉樹です。東アジアの一部と日本の本州、四国、九州に分布しており、温暖地では山地、寒冷地では平地に植生することが多いです。箒を逆さにしたような形が美しく、街路樹や庭木としてよく植えられています。また、清水寺の清水の舞台は欅の柱によって支えられています。欅の語源は際立つや美しいといった意味を持つ「けやけし」だといわれています。語源になるほど欅は魅力的な木であり、一度世界に広めるという計画が立案されたこともあります。しかし、ヨーロッパの人達はケヤキの色があまり好みではなかったようです。
欅の気乾比重は0.47〜0.84と重硬ですが、加工はそれほど困難ではなく、時間をかければ他の木と同じように加工が行えます。また、欅は非常に乾きにくい木材であり、自然乾燥だと1年で3 [cm] ほどしか乾きません。そのため、乾燥時に左右に大きく反っていき、何年も寝かせなければ使用できません。一方で、保存性能は極めて高いため、日本における広葉樹の中では一番の良材といえます。
欅の圧縮強さは5.0 [kN/cm2]、引張強さは13.0 [kN/cm2]、曲げ強さは10.0 [kg/cm2]、 せん断強さは1.30 [kg/cm2]、曲げ弾性係数は1200 [kN/cm2] であり、強靭で狂いが少ないことも特徴として挙げられます。そのため、梁、柱、橋梁の高欄、橋名板などに利用されています。
欅の辺材は淡黄褐色、心材は赤褐色であり、境界は明瞭です。また、見た目的にも木目が力強くて美しく、その木目と心材の色から寺社仏閣の大黒柱によく利用されています。ちなみに、直径の大きくなった欅は木材の繊維の配列が不規則になり、様々な模様が現れてきます。そのため、美しい模様があるとその分価値が高くなり、非常に高価となります。
まとめとして、欅は木目が明瞭で美しいこと、強度が大きいこと、耐朽性があることと3拍子が揃っています。そのため、広葉樹の中では一番良い木材なのですが、乾燥させるために何年も寝かさなければならず、その際に大きく木材が反れてしまいます。また、非常に高価です。