杉はヒノキ科スギ属の針葉樹であり、毎年春になると花粉症が発症する要因でもあります。日本の北端から鹿児島県の屋久島にまで植生しており、戦後における木材の需要量が確保できるようにと多く杉が植えられました。この行動が日本の国民病である花粉症に繋がったのではないかといわれています。杉の語源はまっすぐの木「直木」から来ているといわれています。日本では千年を超える杉もあるのですが、公害には弱く、都市部には残念ながら見るべき大きな木はあまりありません。
杉は昔から木材として利用されてきました。古くは弥生時代あたりの土木資材が貝塚から見つかっているそうです。また、その地方に合う杉の開発(秋田杉、屋久杉、吉野杉、天竜杉など)も盛んに行われてきました。戦後の植林も相まって、現在では安価な木材として利用することができます。
杉の気乾比重は0.30〜0.45と桧よりも軽いです。また、杉の初期含水率は心材部で70~80%、辺材部で150~170%となっています。桧の初期含水率は心材部で35~40%、辺材部で60~80%であることを鑑みると、杉の初期含水率は非常に高いことが伺えます。初期含水率が高いと乾燥の過程で表面に引張応力が発生するため、割れに繋がりやすくなります。杉の圧縮強さは3.5 [kN/cm2]、引張強さは9.0 [kN/cm2]、曲げ強さは6.5 [kg/cm2]、 せん断強さは0.60 [kg/cm2]、曲げ弾性係数は750 [kN/cm2]となっており、桧よりもやわらかいです。そのため、肌触りがよく、一般人でも容易に加工することができます。
杉の辺心材の境界は明瞭で、辺材は白色、心材は赤褐色たまに黒褐色を帯びます。桧と同様に、杉にも特有の芳香があり、建築材などに使用して香りを楽しむだけでなく、日本酒を杉で作った樽に貯蔵することによって香りづけを行う事もあります。安価で入手しやすいことから、一般的な木材として柱、梁、土台、橋梁、電柱、樽など様々なものに使用されています。
まとめとして、杉は比較的やわらかく、加工しやすい木材です。桧と比べると水への耐久性や光沢はありませんが、安価で入手しやすく、また軽いため、梁や柱と用途を問わずに使用することができます。