桧はヒノキ科ヒノキ属の針葉樹であり、日本(福島県以南の本州、四国、九州)と台湾にのみ植生しています。桧の語源は「火の木」といわれているのですが、ヒノキは発火しやすい木ではありません。そのため、「日の木」説も存在します。どちらにせよ昔から多くの人に慕われ、土木建築材料として利用されてきました。また、桧の特徴としては、木材にすると日本人好みの強い芳香を長期にわたって発することが挙げられます。
気乾比重は0.34〜0.54と針葉樹の中では軽い部類に入ります。含水率1%当りの平均収縮率は接線方向で0.23%、半径方向で0.12%と両者の差は少ないです。さらに、圧縮強さは4.0 [kN/cm2]、引張強さは12 [kN/cm2]、曲げ強さは7.5 [kg/cm2]、 せん断強さは0.75 [kg/cm2]、曲げ弾性係数は900 [kN/cm2]となっており、いずれも杉より大きな値を示しています。
また、桧は伐採後に強度を増していく性質があり、伐採されてから200- 300年までの間は圧縮強さが20- 30%も増すといわれています。その後、緩やかに下降するのですが、1000年経ってもまだ伐採時の強度以上を保ちます。そのため、法隆寺の構造材には全て桧が使用されています。構造材として非常に優秀なのですが、伐採出来るまでに長い年月を要すため少し高価です。
桧は強度の他にも、水や湿度に強く、菌や虫への耐性が高い特徴があります。そのため、土台や柱などによく利用されます。桧の辺材は淡黄白色、心材は淡黄褐色で、辺心材の境界ははっきりしていないことが多いです。また、心材の保存性は著しく高く、狂いが少ないのが特徴です。仕上げ材面の状態は極めて良好であり、特有の光沢を放ちます。
まとめとして、桧は伐採後に強度を増す特性を持っており、水や湿気にも強いため、耐久性に優れています。また、虫や菌が寄りつかず、香りも良いため、多くの日本人に愛されている材木です。短所としては高価なことが挙げられます。