車や新幹線の速度は常に一定ではありません。車は道路を走っているとき、時速20 [km/h] から時速 [60km/h] まですぐに加速することができます。このように物体の運動の様子を知るためには速度だけでなく速度がどのように変化しているかを調べる必要があります。この速度の変化率を加速度といいます。加速度には平均加速度と瞬間加速度の2つあります。
このとき、aは加速度 [m/s2] です。
加速しているときはa>0となり、減速しているときはa<0となります。また、等速のときはa=0となり、このときの運動を等速直線運動といいます。さらに、加速度が一定のときはa=const.となり、このときの運動を等加速度直線運動といいます。等加速度直線運動のときの距離、速度は次の式で表わされます。
このとき、v0は初速度 [m/s]、xは距離 [m]、x0は初期位置 [m] です
速度は微小距離を時間で微分することで求められます。従って、加速度は微小距離を時間で二階微分することでも求めることができます。
運動は右から左、左から右だけではありません。木から落ちたリンゴは上から下へと移動していきます。また、落下するリンゴはどんどん加速しながら落ちていきます。実は、物体が落ちていくときにも加速度が生じています。この加速度を重力加速度といいます。重力加速度は質量の大小に関係なく地球上ではほぼ一定であり、大体9.81 [m/s^2] の値となります。重力加速度の求め方については1.10 万有引力を参照して下さい。ちなみに、月の重力加速度は約1.62 [m/s2] であり、地球に比べ1/6倍ほどの大きさです。
このとき、yは距離 [m] です。
加速度の豆知識として地震の話をします。
地震の大きさを表す単位には震度、マグニチュード、ガル、カインの4つがよく使われます。震度とマグニチュードはニュースなどでよく耳にすると思います。震度は観測地点での揺れの強さを示す値であり、震度0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7の10段階で表わされます。一方、マグニチュードは地震の規模を表す値であり、M1〜M3を微小地震、M3〜M5を小地震、M5〜M7を中地震、M7〜M8を大地震、M8以上を巨大地震というように分類しています。
では、ガル、カインとは何なのでしょうか。結論からいいますと、ガルは加速度、カインは速度を示しており、ガルの単位は [cm/s2]、カインの単位は [cm/s] となります。そのため、重力加速度は980ガルといえます。実際の建物が受ける地震動の大きさを示すときにガルやカインが用いられます。加速度の豆知識として頭の片隅にでも入れておいて下さい。