9.1 締固め特性

土の間隙を人工的な力で追い出し、土の密度を増加させる行為を締固めといいます。土の締固めは乾燥密度が増加するため、土のせん断抵抗が大きくなります。

1933年にアメリカの研究者プロクターは、同じ土に対して含水比を変えて締固めを行うと、ある含水比のときに乾燥密度が最大になることを発見しました。この最大乾燥密度のときの含水比を最適含水比といいます。また、含水比と乾燥密度は下図のような凸型の曲線を描き、この曲線を締固め曲線といいます。締固め曲線は次式によって表わされます。

土を締め固めるときに土中の空気を0にすることが一番の理想ですが、実際の実験では空気を完全に追い出すことは不可能です。そこで式中の飽和度を100%とおけば、土中の空気が0のときの理想的な乾燥密度を求めることができます。このときの曲線をゼロ空気間隙曲線といい、各含水比において理論上とりうる最大の乾燥密度を示しています。

締固め量が同じであっても、土の種類が異なると締固め曲線は異なります。一般的に粒度の良い粗粒な土ほど締固め曲線は鋭い山形になり、最大乾燥密度は大きく最適含水比は低くなります。また、細粒な土ほど締固め曲線は平で滑らかになり、最大乾燥密度は小さく最適含水比は大きくなります。

土の締固めは密度だけでなく、強度、圧縮性、透水性などの工学的性質も改善され、これらは最適含水比付近で安定します。厳密にいえば、その性質によって最も安定した含水比は異なり、強度と圧縮性は最適含水比より若干乾燥側、透水性は最適含水比より若干湿潤側で極値を示します。

締固め曲線は締固め試験によって得られます。プロクターはモールドの中に含水比を調整した試料を何層かに分けて入れ、ランマーで各層を所定の回数突き固めることで最適含水比を見つけました。締固めの仕事量はランマーの重量、落下の高さ、打撃回数などによって任意に設定することができますが、日本では標準プロスター(Ec≒550 [kJ/m3]、3層、25回の突固め)と修正プロスター(Ec≒2500 [kJ/m3]、5層、55回の突固め)の2つが基本となっています。また、締固め仕事量は次式によって求めることができます。

このとき、Ecは締固め仕事量 [J/m3]、WRはランマーの重量 [N]、Hはランマーの落下高さ [m]、NBは1層あたりの突固め回数 [単位なし]、NLは層数 [単位なし]、Vはモールドの体積 [m3] です。

通常、十分な締固めが要求されるほど、大きな仕事量で行うのが基本的な考え方です。しかし、粘性土や火山灰質土を大きな仕事量で締め固めると土の構造が破壊され、土の内部の水が排出されます。その結果、締め固めることにより土の強度がかえって低下してしまいます。この現象を過転圧といいます。

まとめとして、土の含水比を変化させて締固めを行うと締固め曲線(含水比と乾燥密度の曲線)が得られます。締固め曲線は標準プロスター、修正プロスターの締固め試験によって描くことができ、その結果、最適含水比が求まります。締固めを行えば、密度、強度、圧縮性、透水性などを改善することができるのですが、粘性土や火山灰質土では過転圧が起こる可能性があります。