山地や丘陵地の斜面が崩壊する現象は、地すべりと崖崩れまたは山崩れの2つに分類することができます。地すべりは斜面が地下水の影響と重力の作用によって継続的に移動する現象であり、崖崩れ(山崩れ)は突発的に移動する現象です。斜面が崩壊する原因としては、地形的な素因、降雨や地震などの気象的誘因、河川侵食や盛土などの人為的誘因、斜面の風化、土質強度の弱化などが挙げられます。ちなみに、集中豪雨により水を含んだ大量の土砂が谷沿いを津波のように流れる現象を土石流といいます。
地すべりを完全に抑制することは極めて難しいですが、一般に採用される主な工法としては次のようなものがあります。
①地表水排除工
斜面の表面を被覆したり排水路を設けることで地表水の浸透を防ぐ工法です。
②地下水排除工
排水暗渠や集水井、排水トンネルなどを設けることで地下水位の上昇を抑え、地盤内の間隙水圧を減少させる工法です。
③地形変更工
地すべり土塊を除去したり、地すべり斜面の先端部に押え盛土を行う工法です。
④杭工
すべり面をまたいで杭を打ち込み抵抗力を上げる工法です。
崖崩れや地すべりをその規模によって分類すると、表層崩壊と深層崩壊に分けることができます。表層崩壊や深層崩壊に明確な定義はないのですが、表層崩壊は崩壊深さが1〜2 [m] 程度、生産土砂量は10〜103 [m3] の場合が多く、深層崩壊は崩壊深さが2 [m] 以上、生産土砂量は106 [m3] 以上の場合が多いです。深層崩壊は岩盤の割れ目に貯水された水圧または地震によって起きるといわれています。
森林は緑のダムといわれることがあります。森林があるところには腐葉土(落ち葉が分解されることによってできた養分の多い土)などが厚く堆積しているため、雨水や雪解水をスポンジのように蓄えることができます。一方、森林がなくなると地表は乾いて硬くなり、雨は勢いよく地表を流れるようになります。そのため、土砂災害や洪水が起こりやすくなります。また、木は地面に根を張るので、木の根が杭のように働き、表層崩壊を防いでくれます。
まとめとして、自然斜面の崩壊は地すべりと崖崩れ(山崩れ)があります。また、地すべりと山崩れを規模の大きさによって分類すると表層崩壊と深層崩壊に分けることができます。崩壊を防ぐ工法も様々に開発されています。