砂のせん断特性は土粒子の詰まり方、すなわち密な砂か緩い砂かによって特性が大きく異なります。まずは、応力-水平変位曲線と垂直変位-水平変位曲線を下図に示します。
応力-水平変位曲線より、密な砂にはせん断応力にピークがあるが、緩い砂にはピークがありません。また、垂直変位-水平変位曲線より、密な砂はせん断中にある時点から膨張する現象がみられます。この理由は、密な砂の土粒子がせん断され移動するときに、他の土粒子を乗り越えるために膨張するといわれています。また、せん断に伴う体積変化をダイレイタンシーと呼びます。イメージは下図のようになります。
さらに、砂質土の破壊線は次式によって表わされます。
これは、クーロンの破壊線において粘着力が0の場合に相当しますまた、砂質土の排水条件における間隙水圧は発生しないため、全応力と有効応力は等しくなります。
通常、砂質土のせん断試験は排水条件で行います。このとき、緩い砂はせん断中に排水が進み体積減少するために間隙比が小さくなります。一方、密な砂ではダイレイタンシーによる体積膨張がみられます。また、せん断中に体積の収縮や膨張を起こさない間隙比も存在します。そのときの間隙比を限界間隙比と呼びます。
まとめとして、砂のせん断特性は密な砂と緩い砂で大きく異なってきます。また、密な砂がせん断中にある時点から膨張する現象をダイレイタンシーといい、体積減少もダイレイタンシーも起きない間隙比を限界間隙比と呼びます。