5.3 粘性土のせん断特性

地盤が飽和粘土のときのせん断破壊に対する安全性を検討するときは、土中の間隙水の排出や圧密の有無による条件が異なってきます。従って、飽和粘土のせん断特性を調べるせん断試験は、実際の施工手順を踏まえて、圧密や排水条件を目的に応じて設定しながら行わなければいけません。また、飽和粘土のせん断試験は3種類に分けることが出来ます。

①非圧密非排水せん断試験(UU試験)

透水係数の小さい粘性土の上に短期間で構造物を建設したとき、地盤は圧密と排水をする間がありません。その土を採取し三軸圧縮試験をするときは、非圧密非排水の条件で行う必要があります。このような試験をUU試験といいます。UU試験は非排水条件なので、全応力の拘束圧をいくら増やしても、間隙水圧に全て受け持たれるので、有効応力は不変となります。すなわち、モールの応力円の半径は常に一定になります。

②圧密非排水せん断試験(CU試験)

飽和粘土上に広域な盛土を施工し、その上に構造物を短期間で建設したとき、地盤は圧密はされるが排水は行われません。このように圧密非排水の条件で行う試験をCU試験といいます。CU試験は事前に圧密して間隙水圧が消散しているので、拘束圧を大きくすれば有効応力も大きくなります。従って、モールの応力円から強度定数が得られます。

③圧密排水試験(CD試験)

土試料を圧密させた後、せん断過程も間隙水圧が発生しないような排水条件で行うCD試験は、全応力が全て有効応力をなります。また、CD試験によって得られる強度定数はCd、φdと表示します。しかし、CD試験は、粘土の排水を長時間にわたって行う必要があり、それに耐える精度の高い試験装置が必要となるため、普通は行われません。

まとめとして、飽和粘土は圧密の有無や排水条件といった様々な要素を含んでいるため、それに応じてせん断試験の設定を行う必要があります。飽和粘土のせん断試験は、UU試験、CU試験、CD試験の3つに分けることができ、それぞれにせん断特性があるので頭の片隅に入れておいて下さい。また、不飽和粘土のせん断特性は、通常のせん断試験で得られます。