荷重は盛土や構造物による静的荷重と車や地震による動的荷重の2つに分けられます。また、動的荷重には急速載荷、繰返し荷重、振動荷重の3種類が考えられます。急速載荷は杭基礎工事の打撃による杭先端の土などが挙げられ、繰返し荷重は車による交通荷重や電車による鉄道荷重が挙げられます。振動荷重は地震波の伝播によるものが代表的です。
振動荷重などによる地盤構造物の挙動を解析する方法として、簡易手法の振動法と厳密な手法の応答解析法があります。振動法は対象とする土構造物を剛体とし、重量に水平震度を掛けた慣性力を振動方向に加える方法です。一般的に震度法は斜面や土圧の安定解析に用いられます。式にすると次のようになります。
このとき、kは水平震度 [単位なし]、aは構造物の固有周期から定まる最大応答加速度 [m/s2] です。
応答解析法には波動理論を用いた方法と有限要素法があるのですが、ここでは波動理論ついて述べておきます。波動理論では、土の微小要素の運動を支配する基本方程式が次式で定義されています。
このとき、ρは土の密度 [kg/m3]、uは変位 [m]、Gは土のせん断弾性係数 [N/m2]、zは深さ [m]、ηは土の粘性係数 [Pa・s] です。
上式を解くことにより、地震波がどのように増幅するか、また増幅率が最も高い地震波の周期はいくらか、などを解析的に求めることができます。
比較的間隙比の大きな飽和砂質地盤が地震などによる振動荷重や繰り返しせん断応力を受けると、地盤内の間隙水圧が上昇します。間隙水圧がどんどん大きくなると土粒子間の粘着力が消失してしまい、次に透水性が増加し始めます。すると、土中水の流れによって土粒子の骨格構造が壊され、摩擦抵抗力がなくなってしまいます。その結果、流動化している土の比重より重い建物は沈下し、軽い配水管などは浮き上がります。この現象を液状化現象といいます。また、飽和砂質地盤は地中深くにあることが多く、飽和砂質地盤の間隙水圧が高い状態で載荷されると地盤の裂け目から砂を噴射することがあります。これを液状化による噴射現象と呼びます。飽和砂の液状化特性を検討するときは三軸圧縮試験のCU試験がよく行われます。
まとめとして、荷重は静的荷重と動的荷重に分けることができ、動的荷重には車などによる繰返し荷重や地震による振動荷重が含まれます。振動荷重を解析する方法としては振動法や応答解析法があり、振動荷重は液状化現象を引き起こす可能性を秘めています。