2.4 日本の地質構造

日本列島は大きな断層によっていくつかに分けられています。このような大規模な断層を構造線といい、この構造線を境に地質は大きく異なってきます。日本列島は糸魚川・静岡構造線によって東北日本西南日本に分けられ、中央構造線によって内帯外帯に分けられています。これら構造線の位置は下図のようになります。

古生代または中生代の糸魚川・静岡構造線と川崎・千葉構造線の間には6〜9 [km] 以上の溝がありました。このことを発見したドイツのナウマンフォッサマグナ(ラテン語で大きな溝)と命名しました。日本語では中央地溝帯と呼ばれています。ちなみに、ナウマンはナウマンゾウを見つけたことで有名です。

中央構造線は諏訪湖から紀伊半島、四国を経て熊本八代に抜ける断層です。この断層の活動時期は比較的新しいため、その活動形態が現在の地形に反映されており、構造線と河川(櫛田川、紀ノ川、吉野川)の位置がよく一致しています。また、内帯で結晶片岩が多く分布する地域を三郡帯、花崗岩が多く分布する地域を領家帯、飛騨片麻岩が多く分布する地域を飛騨帯と呼んでいます。

さらに、外帯で結晶片岩が分布する地域を三波川帯、中・古生代の層が分布する地域を秩父帯、新生代古第三紀の層が分布する地域を四万十帯と呼んでいます。通常は古い地層ほど深くなるのですが、外帯の三波川帯、秩父帯、四万十帯は古い地層ほど浅い場所にあるのが特徴です。ちなみに、三波川帯と秩父帯の堺を御荷鉾(みかぶ)構造線、秩父帯と四万十帯の堺を仏像構造線と呼んでいます。

一方、東北日本には緑色凝灰岩が多く分布するグリーンタフ帯がほとんどであり、グリーンタフ帯の上にのる新生代新第三紀には石油や天然ガスが含まれています。

建設物や構造物の基礎を対象としたとき、地質の硬さは3種類の地盤に大別されます。ちなみに、地質調査は岩石や土の構造・種類を調べること、地盤調査は岩石や土の物理的・化学的特性を調べることを指します。

①硬岩

硬岩は火成岩、変成岩、古生代・中生代・新生代古第三紀の堆積岩などから構成されており、日本では山地を形成していることが多いです。硬岩は風化していないときは構造物の基礎地盤として適しており、断層などの特別な条件を除けば、地質的に大きな問題を生じることは少ないです。

②軟岩

軟岩は新生代第三紀の泥岩・砂岩・凝灰岩や硬岩が風化したものなどから構成されています。硬岩よりも風化や侵食を受けやすいのですが、圧縮に対して高い抵抗力を発揮するため、構造物の基礎地盤としての問題は少ないです。ただし、水を含んで強度低下を引き起こすことがあり、地すべりに注意する必要があります。

③土砂

土砂は新生代第四紀更新世および完新世の岩石が風化した土で構成されています。土砂で構成された地盤は沈下や破壊を起こしやすく、掘削時にも不安定になることが多いです。

まとめとして、日本にはいくつかの構造線があり、糸魚川・静岡構造線によって東北日本と西南日本に分けられ、中央構造線によって内帯と外帯に分けられています。また、糸魚川・静岡構造線と川崎・千葉構造線の間の溝をフォッサマグナといいます。また、地質の硬さは硬岩、軟岩、土砂の3種類に分けられます。