堆積したときは水平であったはずの地層も地殻変動により傾いていることが多いです。傾いた地層を表すものとして走向と傾斜があります。
走向は地層面(層理面)と水平面(高さは任意)の交線の向きをいい、その線が北を基準として何度東西にずれているかで表現します。例えば、その線が北から東に30°ずれていれば、N30°Eと表します。ちなみに、走向が南北であればNSと書き、地層が水平であれば走向も傾斜もなく単に水平となります。
傾斜は地層面が水平面から何度傾いているかで表します。当然、傾斜を測る向きは走向に対して垂直の向きになります。
地層の走向と傾斜を測る道具としてクリノメーターがあります。クリノメーターには水平になったかどうかの確認する水準器、走向を測る方位磁石、傾斜を測る傾斜計がついています。方位磁石の目盛りは走向を直接読むため、わざと東西(EW)が逆についています。このとき、方位磁石は磁北を示すため、真北にするときは補正する必要があります。
このクリノメーターはハンマーと地形図を合わせて地質調査の三種の神器と呼ばれています。ハンマーは岩石のサンプルを採集するとき、地形図はどの地点を調査したかを確認するために使用します。昔は地形図のみで自分の位置を特定するには技術が必要でしたが、現在はGPSを使えば直接自分の位置を知ることができます。また、調査地点の位置情報をパソコンから地形図上に挿入することもできます。
まとめとして、傾いた地層は走向と傾斜によって表されます。これらの値はクリノメーターによって測定することができ、クリノメーター・ハンマー・地形図を合わせて地質調査の三種の神器と呼ばれています。