1.5 粒径と粒度分布

土は大小さまざまな土粒子が集合して形成されており、その土粒子の大きさを粒径といいます。土質の分野では、粒径の大きさによってそれぞれ名前がつけられています。

土粒子は大きく分けて4つに分類することができます。細かい粒子からそれぞれ粘土(5μm)、シルト(5〜75μm)、砂(75μm〜2mm)、礫(2〜75mm)の呼び名が付けられています。また、土質力学では粒径が75 [mm] までは土、それ以上は岩石として扱われます。

実際の土には粘土、シルト、砂、礫がそれぞれ混合しており、シルトと粘土が全体の50%以上含有されている土を細粒土といいます。一方、砂と礫が50%以上含有されている土を粗粒土といいます。また、粗粒土の中でも砂が多ければ砂質土、礫が多ければ礫質土と呼びます。

様々な粒径の土粒子がどのくらい割合で混合されているのかを表したものを粒度といいます。粒度を調べる試験を粒度試験といい、粒度試験はふるい分析沈降分析に分けられます。

ふるい分析はふるいに試料を投入し、ふるいに残った試料の質量を測定することで土試料の通過質量百分率を計算する方法です。通過質量百分率とは、ある粒径より細かい土粒子の質量がどれくらいあるかを百分率で表したものです。この試験では土試料を網目の粗いふるいから順に通していく必要があり、網目の大きさは75.0mm、53.0mm、37.5mm、26.5mm、19.0mm、9.5mm、4.75mm、2.0mm、850μm、425μm、250μm、106μm、75μmの13個あります。それぞれのふるいに残った土粒子を水を使って取り出し、質量を測定することで粒径と質量の関係を求めます。また、ふるい分析による通過質量百分率は下図のように求めます。

沈降分析は75 [μm] より小さい土粒子の質量百分率を測定するときに使われます。沈降分析はメスシリンダーに入った1 [L] の水に粒径2 [mm] 未満の試料を加え懸濁液を作り、浮ひょうから通過質量百分率を計算します。

浮ひょうは水よりほんの少し密度が大きく、水のみだと沈んでしまうのですが、試料が入っている懸濁液は水より密度(浮力)が大きいため浮かび上がってきます。しかし、時間が経つと土試料が沈み、懸濁液は水の密度に近づいていくので、浮ひょうは徐々に沈んでいきます。このとき、メスシリンダーの底から浮ひょうの目盛りまでの距離(有効高さという)を測ると、ストークスの式から粒径を求めることができます。

ストークスの式は小さな粒子が流体中を沈降する際の終端速度を表す式であり、粘性が慣性より強いときに使うことができます。また、ストークスの式は粒子を球形と仮定したときの式なので、得られたデータは見かけの粒径であることに注意する必要があります。粒径の式は次のように表わされます。

このとき、Dは粒径 [m]、μは水の粘性係数 [Pa・s]、Lは有効高さ [m]、tはメスシリンダー静置後の経過時間 [s] です。

土質力学では、[cm] と [g] の単位を使うことが多いので、ストークスの式を単位換算していきます。また、重力加速度は980 [cm/s2] となるので注意して下さい。

また、有効高さは次式から求まります。

このとき、l1は浮ひょうの上端から目盛線1.000までの距離 [mm]、l2は浮ひょうの上端から目盛線1.050までの距離 [mm]、LBは浮ひょうの長さ [mm]、VBは浮ひょうの体積 [cm3]、Aはメスシリンダーの断面積 [cm2]、rはメニスカス上端の浮標の読みの小数部分 [単位なし]、Cmはメニスカス補正値 [単位なし]、rLはメニスカス下端の浮ひょうの読み [単位なし]、rUはメニスカス上端の浮ひょうの読み [単位なし] です。

続いて、通過質量百分率です。通過質量百分率は次の式で表わされます。

このとき、P0は質量百分率 [%]、ms1は沈降分析した試料における土粒子の質量 [kg]、Fは懸濁液の温度に対する補正値 [単位なし]、Pは通過質量百分率 [%]、ms0は2mmふるいの残留土粒子の質量 [kg] です。

体積には1000 [cm3] を代入しなければいけないことに注意して下さい。

土の粒度試験(ふるい分析、沈降分析)の結果は粒径加積曲線によって整理されます。粒径加積曲線とは、縦軸に通過質量百分率、横軸に粒径を対数目盛でとった曲線であり、下図のように描かれます。

この粒径加積曲線を用いると粒度分布の良し悪しを判断することができます。まずは、通過質量百分率が10、30、60%のときの粒径D10、D30、D60を図から読み取ります。そして、これらの値を使い、均等係数曲率係数を求めます。

このとき、UCは均等係数 [単位なし]、UU'は曲率係数 [単位なし]、D10は有効径 [m]、D50は平均粒径 [m] です。

均等係数は曲線の傾きを示しており、この値が大きいほど広範囲の粒径の土粒子が含まれている土であることを意味します。逆に、値が小さければ粒径がそろった均等な土といえます。土粒子が均一な場合はUc=1となります。

曲率係数は曲線のなだらかさを表わしています。曲率半径の値が1〜3または10以上の場合は粒度分布が良い、値が4〜5の場合は粒度分布が悪いとされています。粒度分布の良い土は均等係数と曲率半径の両方を満たす必要があり、片方でも満足しないときは粒度分布が悪い土となります。

通過質量百分率が10%のときの粒径を有効径といいます。有効径は土に含まれる細かい粒子の大きさがどの程度なのかを知る指標となっており、古くから土の透水性(水の通しやすさ)の推定に用いられています。また、通過質量百分率が50%のときの粒径は平均粒径と呼ばれており、液状化の特性を表す指標として用いられています。液状化の詳しい内容については5.5 土の動的特性を参照して下さい。

まとめとして、土粒子の大きさを粒径といい、土は粒径の大きさによって粘土、シルト、砂、礫に分けられます。また、様々な粒径の土粒子がどのような割合で存在しているのかを示したものを粒度と言います。粒度分布の良し悪しは粒径加積曲線によって調べることができ、均等係数が1より大きく、かつ、曲率係数が1〜3または10以上であれば粒度分布の良い土となります。さらに、有効径は透水性の指標として、平均粒径は液状化の指標として用いられます。