1.2 土の物理量

土の物理量としては土粒子の密度湿潤密度乾燥密度含水比間隙比間隙率飽和土体積含水率がよく挙げられます。

①土粒子の密度

土粒子の密度は、土を構成している土粒子の単位体積あたりの質量であり、次式で表わされます。

このとき、ρは密度 [kg/m3] です。

土質学の場合、密度の単位は [g/cm3] がよく使われます。[kg/m3] ではないので注意して下さい。また、土粒子の密度はピクノメーター(別名、比重瓶)と呼ばれる器具で測定することができます。ピクノメーターによる土粒子の密度は次式によって求めることができます。

このとき、maはピクノメーターと水の質量 [kg] 、mbはピクノメーターと水と土粒子の質量 [kg] です。

水の密度は温度で変わってしまうのですが、通常は4℃として計算を進めていきます。また、水の密度の単位が [g/cm3] のときは1.0となります。一方、土粒子の密度は一般的に2.6〜2.7 [g/cm3] の値を取ります。この土粒子の密度を水の密度で割った物理量を土粒子の比重といい、次式で表わされます。

このとき、Gsは土粒子の比重 [単位なし] です。

②湿潤密度

湿潤密度は土の単位体積あたりの質量で表わされます。普通の密度と同じ計算式です。

③乾燥密度

乾燥密度は土の単位体積あたりの土粒子の質量で表わされます。土の締まり具合を理解するときに土中の土粒子の割合が非常に重要になってきます。そのため、乾燥密度は土の締まり具合のある程度の指標にもなります。

④含水比

土に対して水がどれだけ含まれているかを知ることも土の特性を理解する上で重要となってきます。この物理量を含水比といい、水の質量と土粒子の質量の比の百分率で表わされます。

このとき、wは含水比 [%] です。

昔は110℃の恒温乾燥炉に土の試料を入れ、18〜24時間乾燥させることで含水比を求めていました。しかし、最近では短時間で測定可能な電子レンジを用いた含水比測定法がよく用いられているそうです。ちなみに、恒温乾燥炉で含水比を求める場合は次式で表わされます。

このとき、maは試料と容器の質量 [kg]、mbは乾燥した試料と容器の質量 [kg]、mcは容器の質量 [kg] です。

⑤間隙比

含水比は水の割合を質量で求めましたが、間隙比は間隙の割合を体積で求めます。質量を使わない理由は空気の質量が0だからです。間隙比は間隙の体積と土粒子の体積の比で表わされます。

このとき、eは間隙比 [単位なし] です。

⑥間隙率

間隙を表す量は間隙比の他に間隙率があります。間隙率は全体に対する間隙の割合を表わしており、式にすると次のようになります。

このとき、nは間隙率 [%] です。

⑦飽和度

地下水より下にある土は、間隙が水で満たされている場合が多くこのような土を飽和土といいます。一方、間隙中に水と空気が存在する土を不飽和土といいます。この間隙中の水の占める割合を体積で表したものを飽和度といい、飽和土の飽和度は100%となります。

このとき、Srは飽和度 [%] です。

⑧体積含水率

含水比は水の割合を質量で求める物理量ですが、実は体積を使っても求まります。このときの物理量を体積含水率といいます。不飽和土の研究分野でよく含水比の代わりに体積含水率がよく使われます。

このとき、θは体積含水率 [%] です。

まとめとして、土の性質はこの8つの物理量である程度決定することができます。土粒子の密度、湿潤密度、乾燥密度、含水比、間隙比、間隙率、飽和度、体積含水率の式は似ているのでややこしいのですが、ある程度頭の中に入れておいて下さい。