日本の大地は平野に柔らかい土が堆積し、山岳に急斜面を多く抱えています。このような大地に構造物をつくるときは様々な問題を克服する必要があり、その問題を対処するために地質工学が誕生しました。
構造物は平野に限らず、山岳、河岸、海岸、そして地下にも建設されます。影響が広範囲に及ぶ構造物を一度建設してしまうと、その範囲に新しい構造物を造るときに様々な制約が伴ってくるため、綿密な計画を要しないといけません。そのため、建設の立案時には地図が必須の基礎資料となります。よく用いられる地図としては、地形図、海底地形図、地質図などが挙げられます。
①地形図
地形図にはいろいろな縮尺があり、国土地理院が発行している地形図としては、1/2500と1/5000の国土基本図、1/10000と1/25000と1/50000の地形図、1/200000の地勢図、1/500000の地方図があります。これら地形図は主要書店や日本地図センターで購入することができます。
地形図には等高線が描かれており、その間隔を読み取ることにより大まかに山地、台地、低地を知ることができ、また地形の凹凸が判別できます。従って、それを基に地すべり、崩壊、断層などの分類が可能となります。
②海底地形図
海底地形図は海水面下の等深線が描かれており、地形図と同様に海底の凹凸を読み取ることができます。1980年代後半にマルチビーム測深機が開発され、以前より効率的かつ正確に海底地形図を作成できるようになりました。日本の海底地形図としては海上保安庁が刊行している「海の地形図」が挙げられます。
③地質図
地質図は岩石の種類、形成年代、変質状況などを一定のルールに従って図示した地図であり、地すべり地域や断層などを特定することができます。地質図には目的に応じて、海洋地質図、鉱山地質図、火山地質図、水理地質図、軍事地質図などが作成されています。また、ボーリングによって地質調査が行われているところは土層断面図が描かれており、構造物を建設できる地盤の可否判断が行えます。
まとめとして、地質工学は日本の地盤における様々な問題を解決するための学問です。地質を語る上では地図が重要であり、よく用いられる地図としては、地形図、海底地形図、地質図などがあります。