トラバースとは測線を連ねた折れ線のことをいいます。また、市街地のように見通しの悪い地域で土木工事をするときに多角測量(トラバース測量)が行われます。トラバース測量とは、距離測量と角測量を組み合わせて行う測量のことであり、得られた座標点は平板測量の基準点などに用いられます。トラバースには閉合トラバース、結合トラバース、開放トラバース、トラバース網があります。
閉合トラバースは出発点と到着点が同じトラバースのことです。既知の基準点がなくても座標や標高などで精度の確認や誤差の調整を行うことができるので、広く用いられています。
結合トラバースは2点以上の既知点を結ぶトラバースです。両端の座標を用いて精度の確認と誤差の調整を行うことができます。
開放トラバースは結合トラバースと形状は同じですが、既知点がないトラバースを指します。このトラバースでは精度の確認と誤差の調整が行えないので、高い精度を必要としない測量で用いられます。
トラバース網は2個以上のトラバースを網のように組み合わせたものであり、国土交通省の公共測量規定には下図のような基本形が定められています。
トラバース測量の精度は角測量より距離測量の方が影響が大きいため、距離測量を行う際は慎重に行う必要があります。また、角測量には様々な方法があるのですが、一般的に交角法が用いられます。交角法は閉合トラバースでは内角を測定し、結合トラバースでは進行方向の左側の角度を測定します。
まとめとして、トラバース測量は距離測量と角測量を組み合わせて行う測量であり、距離測量の方が精度に大きな影響を与えます。また、トラバース測量には、閉合トラバース、結合トラバース、開放トラバース、トラバース網の4種類あります。