角測量によって得られた値には、測定者の不注意によって生じる過誤、計算や観測方法の工夫によって消去できる定誤差、原因が特定できず補正できない不定誤差が含まれています。ここでは、定誤差の器械誤差と個人誤差について述べていくことにします。
まずは、器械誤差についてです。測角器には鉛直軸、気泡管軸、視準軸、水平軸の四つの軸線があります。水平角を測定するときに誤差が生じないようにするためには、次の条件を満足しないといけません。
①水平軸と鉛直軸が直行していること。
②視準線と水平軸が直行していること。
③鉛直軸と気泡管軸が直行していること。
④視準軸と求心望遠鏡の光軸が一致していること。
①の条件を満たしていないときに生じる誤差を水平軸誤差といいます。水平軸誤差は望遠鏡の正位・反位の測定値を平均することによって消去することができます。
②の条件を満たしていないときに生じる誤差を視準軸誤差といいます。視準軸誤差は望遠鏡の正位・反位の測定値を平均することによって消去することができます。
③の条件を満たしていないときに生じる誤差を鉛直軸誤差といいます。鉛直軸誤差は望遠鏡の正位・反位の測定値を平均しても消去できないため、気泡管軸の検査・調整は必ず行う必要があります。また、水平軸誤差、視準軸誤差、鉛直軸誤差を総称して三軸誤差といいます。
④の条件を満たしていないときに生じる誤差を偏心誤差といいます。偏心誤差は望遠鏡の正位・反位の測定値を平均することによって消去することができます。また、偏心誤差は据付け点から視準点までの距離が等しいときには生じません。
次に、個人誤差についてです。個人誤差には大きく据付け誤差、視準誤差、読取り誤差の三種類があります。据付け誤差や視準誤差はどちらも正しく行うことで消去することができます。読取り誤差はデジタル表示であれば、ほぼ生じない誤差です。それ以外の表示であれば倍角法を用いることで読取り誤差を小さくすることができます。
ちなみに、測角の方法による角誤差は式で表すことができます。
このとき、Esは単測法による角誤差、Erは倍角法による角誤差、Edは方向法による角誤差、αは視準誤差、βは読取り誤差、nは正位と反位の合計数です。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:方向法により1対回観測したときの角誤差を求めよ。ただし、αは8′′、βは4′′とする。
方向法の角誤差に値を代入すれば簡単に求まります。
まとめとして、各測量の誤差には過誤、定誤差、不定誤差があります。また、定誤差には器械誤差と個人誤差があります。さらに、器械誤差には水平軸誤差、視準軸誤差、鉛直軸誤差、偏心誤差などが挙げられ、個人誤差には据付け誤差、視準誤差、読取り誤差などが挙げられます。