角測量における水平角は微小な角度まで測定を行います。そのため、器械を測点上に正しく据え付けて、目標物を正しく視準しないといけません。
トランシットの据え付けは、器械を水平に据え付ける整準と器械を測点の鉛直線上に据え付ける求心があります。据え付け手順は、三脚の脚の長さを決定し、三脚の位置を固定し、トランシットを三脚に固定し、下げ振りによる求心を行い、トランシットの整準の順となります。
水平角の測定方法には、高い精度を必要としないときに用いられる単測法、高い精度を必要とするときに用いられる倍角法、一点の周りに複数の角があるときに用いられる方向法があります。
単測法は測点Aを視準し、水平目盛を記帳した後に、トランシットの上部運動により測点Bを視準し、水平目盛を記帳します。その差が求めたい角度となります。また、機械誤差を無くすために望遠鏡を反転させ、測点Bを視準し、水平目盛を記帳した後に、測点Aを視準し、水平目盛を記帳します。このとき、測点Aから測点Bまでの測定を正位、測点Bから測点Aまでの測定を反位といい、正位と反位で一回ずつ測定することを一対回といいます。単測法は一対回により行われます。
倍測法は単測法と途中までは手順が同じです。まずは、測点Aを視準し、水平目盛を記帳した後に、測点Bを視準します。次に、上部締め付けねじすなわちトランシットの上部運動を固定します。そして、トランシットの下部運動によって再度測点Aを視準します。最後に、トランシットの上部運動で測点Bを視準し、水平目盛を記帳します。トランシットが下部運動しているときは水平目盛は動きませんので、最終的に読み取れる値は2倍の角度を表していることになります。これが倍角法と呼ばれる所以です。倍角法も単測法と同様に、正位・反位の一対回を行う必要があります。
方向法は単測法や倍測法と違い、少し複雑です。まずは、正位・反位の順に角度を求めていきます。次に、反位のまま水平目盛を90°だけ進め、反位・正位の順に角度を求めていきます。このとき、一対回目から進めた目盛の大きさを輪郭といいます。では、記帳の方法も下に示しておきます。
倍角差や観測差は測量の目的によって一定の制限が設けられており、これを超えた場合は再度測量を行う必要があります。例えば、国土交通省公共測量作業規定の3級基準点測量では二対回、倍角差30"未満、観測差20"未満と定められており、上記の結果では再度測定する必要があります。
まとめとして、各測量の測定方法としては単測法、倍測法、方向法の3種類があります。