地表面には山や谷や海による凹凸があり、基準面としては複雑すぎて実用的ではありません。そこで、できるだけ地球の形に近く、できるだけシンプルな形の基準面を決める必要があります。地球の形をもっとよく代表するモデルの一つはジオイドなのですが、ジオイドも複雑な起伏があるので基準面としては不適です。そこで、ジオイドによく似た回転楕円形を考える必要がありました。代表的な回転楕円体としては以下のようなものがあります。
測地系(地球の経緯度および標高を表す座標系)をきちんと決めた回転楕円体は準拠楕円体と呼ばれます。2001年以前(測量法が改正される前)の準拠楕円体は明治時代に採用されたベッセル楕円体を使用していました。また、測地系は日本測地系を使用していましたが、測量法が改正されるときに準拠楕円体はGRS80楕円体、測地系は世界測地系のITRF座標系(国際地球基準座標系)に変更されました。
ちなみに、地形測量の12.2 地形図の投影で述べた平面直交座標系とUTM座標系は投影座標系と呼ばれ、二次元を表すときの座標です。一方、日本測地系やITRF座標系、GNSS測量で用いられるWGS-84座標系は地理座標系と呼ばれ、三次元を表すときの座標です。
WGS-84座標系とITRF座標系はともに地球中心の座標系です。WGS-84座標系はこれまでに数回の改定を行っていますが、そのたびにITRF系に接近し現在はほとんど同一のものとして扱っても問題なく、実用上の違いはありません。また、ITRF座標系による日本の経緯度原点の座標は次のようになっています。
まとめとして、日本における準拠楕円体はITRF座標系GRS楕円体が使用されています。