海岸線と垂直方向に輸送される漂砂量を岸沖漂砂量といいます。この岸沖漂砂量の算定式は底面せん断力やシールズ数と関係があるといわれていますが、漂砂量の公式として確立されたものはありません。例としては次式の渡辺の式があります。
このとき、φは無次元漂砂量、ψはシールズ数、ψcは移動限界シールズ数、qは岸沖漂砂量 [m2/s]、wfは底質の最終沈降速度 [m/s]、fは底面摩擦係数、ubは底面の流速 [m/s] です。
海岸線に沿って輸送される漂砂量を沿岸漂砂量といいます。この沿岸漂砂量の算定式は次式によって表され、CERC公式と呼ばれます。
このとき、qは沿岸漂砂量 [m3/s]、a'は底質の間隙率、Kは無次元定数です。
また、エネルギー輸送量は屈折係数を用いて、次のように表すことができます。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:水深7 [m] に沖波波高5.0 [m]、周期10 [s]、入射角55°の波が進行しているとき、この海岸を移動する1時間当たりの沿岸漂砂量を求めよ。ただし、海水の単位体積重量は10.1 [kN/m3]、底質の単位体積重量は26.0 [kN/m3] とする。
まずは、波向角と屈折係数の計算に必要な諸量を求めていきます。
次に、波向角と屈折係数を計算します。
最後に、沿岸漂砂量を計算します。
まとめとして、岸沖漂砂量は渡辺の式、沿岸漂砂量はCERC公式から求めることができます。