波によって底質が移動する現象を漂砂、風によって底質が移動する現象を飛砂といい、飛砂により汀線より岸側の砂が内陸部に輸送されます。その結果、砂丘を形成し、かつては集落を飲み込んでしまう砂津波の主原因でもありました。近年では、港湾の埋没、沿岸道路のスリップ事故の原因にもなっています。この飛砂が移動するかどうかは限界摩擦速度により求めることができます。
このとき、Aは定数であり、粒径が0.1〜2.0 [mm] で均一な場合は0.1とします。
また、移動速度は風速との関係式から求めることができます。
このとき、Uは風速 [m/s]、zは底面から風速までの高さ [m] です。
飛砂量は摩擦速度から求めることができ、次式が与えられています。
このとき、qは飛砂量 [m2/s]、cは砂の状態による定数、Dは標準粒径 [mm] です。砂の状態による定数は1.5〜2.8、標準粒径は0.25 [mm] の値をとります。
では、例題を1問解いていきます。
例題1:砂の粒径が0.2 [mm]、地表5 [m] で風速12 [m/s] の風が吹くときの飛砂量を求めよ。ただし、砂の密度は2.65 [g/cm3]、空気の密度は1.25×10-3 [g/cm3]、砂の状態による定数2.0とする。
まずは、限界摩擦速度を求めていきます。
次に、摩擦速度を求め、飛砂が発生しているか確認を行います。
計算の結果、摩擦速度は限界摩擦速度より大きく、飛砂は発生していることが分かります。では、飛砂量を計算していきます。
まとめとして、飛砂量の算定は摩擦速度を用いて行います。また、摩擦速度が限界摩擦速度より小さい場合は飛砂は発生しません。